銀河を包む謎の構造「奇妙な電波サークル(ORC 1)」【今日の宇宙画像】
【SAPOD】今日の「宇宙画像」です。soraeが過去に紹介した特徴的な画像や、各国の宇宙機関が公開した魅力的な画像、宇宙天文ファンや専門家からお寄せいただいた画像を紹介しています。(文末に元記事へのリンクがあります)
(引用元:sorae 宇宙へのポータルサイト)
こちらは南天の「くじゃく座(孔雀座)」の方向に位置する「ORC 1」という天体です。ORCは「Odd Radio Circle」の略称で、日本語では「奇妙な電波サークル」という意味になります。
冒頭の画像は、南アフリカ電波天文台(SARAO)の電波望遠鏡「MeerKAT」を使って取得したデータを緑色で着色し、別の望遠鏡で撮影した星空を合成しています。CGのようにも見えますが、リング状の電波放射を実際に観測したものです。
- Image Credit: Jayanne English (U. Manitoba
- sorae - 謎の天体「奇妙な電波サークル」は銀河の爆発的な星形成が生み出した?
ORC 1のリングは直径およそ150万光年に達する巨大な泡状構造で、その中心には銀河が存在しています。リング部分は現在のところ電波でしか観測できませんが、中心の銀河そのものは可視光や赤外線などで確認することが可能です。
ORCの形成メカニズムについては現在も謎のままで、銀河風を伴うスターバーストの痕跡や活動銀河核(AGN)の古い双方向ジェットなど、複数の仮説が提案されています。
宇宙には肉眼で見えない天体が無数に存在します。私たちが直接とらえられるのは可視光というごく狭い波長帯だけです。電波・赤外線・紫外線・X線など、あらゆる波長で観測したデータを可視化することで、ORC 1のような銀河を包む巨大な泡状構造などが浮かび上がってくるのです。
編集/sorae編集部