買うつもりなかったのに。AirPods Pro 3を“その場で即決”した理由
こちらが、その「AirPods Pro 3」。見た目は前モデルの「AirPods Pro 2」とほぼ同じですが、よく見ると、新たに心拍センサーが搭載されたことで、黒い模様のような箇所がひとつ追加されています。 この心拍センサーの追加が、今回の目玉機能だろうと思っていたため、これまで通り「Apple Watch」で測れば十分だと考え、買い替えは見送るつもりだったのです。 では、なぜ購入するに至ったのか。まず、1つ目は音質の向上です。 「Pro 2」も決して音が悪かったわけではありませんが、聴き比べてみると、明らかに中音〜低音域にかけて音が豊かになっています。全体的な音の傾向は、「Pro 2」と同じくボーカルが際立つチューニングですが、伴奏や空間の厚みがより感じられるようになりました。 たとえば、アコースティックギターの響きやベースのうねりが、これまで以上に立体的に伝わってくる感覚です。耳に馴染んだ曲でも、思わず「こんな音鳴ってたんだ」と感じるような新鮮さがありました。
2つ目は、「空間オーディオ」の進化です。「Pro 2」以前のモデルを愛用している方ならご存じかもしれませんが、空間オーディオをONにして再生した際、これまでは「固定」と「ヘッドトラッキング」の設定によって、音の聴こえ方だけでなく、音質そのものも大きく変わってしまっていました。 個人的には「ヘッドトラッキング」の音質の方が好みでしたが、iPhoneをポケットに入れて使っていると、頭の動きに対して音の位置が安定せず、違和感を覚えることが多くありました。そのため、しぶしぶ「固定」モードに切り替えて使っていたのです。 ところが、AirPods Pro 3では、「固定」と「ヘッドトラッキング」の音質差がほぼ解消され、モードによって変わるのは音の動き方だけになりました。これにより、好みのモードを音質の犠牲なく選べるようになったのは、大きな進化だと感じています。 また、「空間オーディオ」自体の音質も、中音〜低音域にかけての厚みや広がりが増しており、より没入感のあるリスニング体験が得られるようになっています。
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そして、最後3つ目が、「ノイズキャンセリング」と「外音取り込み」の向上です。ノイズキャンセリングについては、Appleの説明では「Pro 2の2倍の性能」とされていますが、個人的な体感としては、そこまで劇的な差ではなく、1.4倍程度の印象でした。 とはいえ、高音域──とくに人の声に対する遮音性能は、明らかに向上しています。電車やバスのアナウンスの声でさえ、これまでよりもしっかりと抑えられ、静寂感が一段と深まっています。 一方、「外音取り込み」機能も、さらに自然さが増しました。「Pro 2」でも他社製品を圧倒するレベルでしたが、「Pro 3」では、実際に耳で聞いているのとほとんど変わらないレベルに達しています。 たとえば、AirPods Pro 3を装着し、外音取り込みモードでテレビの音を聞いている状態で、そのまま耳から外してみても、聞こえ方の違いはほとんど感じられません。装着している状態でも、音量・音質・音の方向感が非常にリアルで、もはやイヤホン越しであることを忘れるほどです。
以上が、僕がAirPods Pro 2からAirPods Pro 3へ買い替えを決意した3つの理由でした。 僕には、音質という「音楽を聴く道具」としての進化がもっとも刺さりましたが、それ以外にも、よりフィット感の高まったイヤーピースや、冒頭で述べた心拍センサーの搭載など、さまざまな部分で改良が施されています。 また、近々のアップデートで「ライブ翻訳」機能の日本語対応も開始される予定(AirPods Pro 2にも対応)。AirPods Pro 3は、普段あまり音楽を聴かないという方にとっても、iPhoneをより便利で多機能なデバイスに変えてくれるガジェットとして、十分に検討する価値がある一台だと思います。
SUMA-KIYO