【日本市況】株式が大幅安、米関税懸念でリスク回避-債券高・円高

28日の日本市場では株式が大幅下落し、日経平均株価は2週間ぶりの安値で終えた。トランプ米大統領の自動車関税を受けて投資家心理が悪化。リスク回避で安全資産とされる債券は買われ、為替は円が1ドル=150円台後半に上昇した。

  トランプ大統領が前日に自動車関税を明らかにした影響が続き、株式相場は3月末の配当権利落ちの影響を考慮しても大幅な下げとなった。ブルームバーグのデータによると、きょうの権利落ち分は東証株価指数(TOPIX)が約30.52ポイント、日経平均株価は約308円。

  大和総研の秋元虹輝エコノミストらは27日付のリポートで、自動車と自動車部品に対する関税率引き上げは、日本の実質国内総生産(GDP)を0.36%押し下げると試算。今後、各国・地域が報復関税に踏み切ったり、米国内で物価高を通じて個人消費が下押しされたりすれば、悪影響はさらに大きくなり得ると指摘した。

  石破茂首相は午前の参院予算委員会で、自動車関税が発動された場合、「日本経済に与える影響は極めて大きい」と述べ、関連する企業への資金繰りを含め対応策を検討する考えを表明した。

国内債券・為替・株式相場の動き-午後3時30分現在
  • TOPIXの終値は前日比2.1%安の2757.25
  • 日経平均株価は1.8%安の3万7120円33銭
  • 長期国債先物6月物の終値は前日比38銭高の137円77銭
  • 新発10年債利回りは4ベーシスポイント(bp)低い1.545%
  • 円相場は対ドルでニューヨーク終値比0.2%高い150円76銭

株式

  東京株式相場は大幅安。自動車株をはじめ東証の全33業種が下落した。前日の米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が続落した流れを受け、東京エレクトロンなど半導体関連株の下げも目立った。

  MCPアセット・マネジメントの大塚理恵子ストラテジストは、自動車関税は一部で日本が除外されるなどの期待があったが、内容が割とハードで業績への影響が懸念されていると話した。来週は4月2日の発動を前に「週前半にかけて事前報道などのヘッドラインで相場は右往左往しそう」との見方を示した。

債券

  債券相場は上昇。株安を受けたリスク回避に加え、日本銀行が実施した国債買い入れオペが長期債を中心に強い結果となり、需給改善に期待した買いが入った。

  日銀は28日、定例の国債買い入れオペを実施。残存期間3年超5年以下、5年超10年以下、10年超25年以下、物価連動債で、買い入れ額はいずれも前回オペから据え置いた。オペ結果によると、応札倍率は全年限で前回オペから低下し、需給の良好さが示された。

  SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、残存期間5年超10年以下のオペが強く、それに反応して長期ゾーン中心に買われていると指摘。年度末で参加者が少なく一部の買いで相場が振れやすいと話していた。 

新発国債利回り(午後3時時点)

  2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債   0.865% 1.145% 1.540% 2.245% 2.505% 2.765% 前日比 -1.5bp -3.5bp -4.5bp -4.5bp ‐7.5bp ‐10.5bp

為替

  東京外国為替市場の円相場は1ドル=150円台後半に上昇。株価の大幅下落に伴うリスク回避の買いが優勢になった。朝方は3月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る伸びとなったことも円買いにつながった。

  一方、金融機関が外為取引の基準レートとする公示仲値の設定に向けては実需のドル買いが強まり、円はほぼ4週間ぶりの安値を更新する場面もあった。

  りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、トランプ米大統領が関税について柔軟性を持たせることも示唆しており、実際の内容が市場が警戒したほど過大にならなければドル高・円安に向かうと指摘。ただ、市場が悲観的な中で「米経済指標も悪化すればドル安・円高に振れるリスクがあり、目先のドル・円相場は見通しづらい」と述べた。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

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