専門家に訊く、帰宅後に気持ちを和らげるための6つのコツ

あまりに速いペースで過ぎていく現代社会では、物理的に会社を出て、日々の責任から解放された後もストレスが残像として存在する気がする。だからこそ、仕事後にリラックスできるかどうかは、かつてないほど重要だ。最適なストレス解消法を知るため、ヘルス・フィットネスの専門家に話を訊いた。

「リラックスとは、単に仕事と気持ちを切り離すだけでなく、栄養豊富な食事を楽しんだり、抗炎症作用のあるお茶を飲んだり、ストレス緩和のためお風呂にゆっくり入ったりすることです」。こう語るのは、栄養士で糖尿病指導を行うアルチャナ・バトラだ。

「気持ちをほぐすには、思考から気持ちを解いて、休めることも含まれます。好きなことに気持ちを向けることです。子どもと時間を過ごす。絵を描く。日記をつける。画面を見ない。運動をする。ヨガや瞑想も、気持ちを落ち着ける助けになります」

1:ゆっくりと動く

ヨガなどの軽い運動は、多幸感をもたらすエンドルフィンを生成する。ヨガレッスンFlow With Shrutiの創設者で、ヨガ講師のシュルティ・シャーは次のように語る。

「ヨガ講師の私が、その大切さをアドバイスしたいのは、仕事から休息の時間への移り変わりとして、意図的に変化を作ることです。気持ちを和らげるとは、単にリラックスするだけでなく、神経を休め、活動ペースを落とすこと。私は、呼吸に集中しながらリストラティブヨガやゆっくりした動きを行い、温かいお茶を飲むことで質の良い眠りに繋げています」

2:散歩にいく

「忙しかった日、気持ちをほどくのに最も最適なのは散歩です」と語るのは、インドのリゾートホテルWoods At Sasanでウェルビーイングのシニアマネージャーを務めるセイガー・パンワールだ。

「単に体を動かすだけではなく、散歩に意識を向けること。感覚を高め、自然なリズムに自分を乗せましょう。マインドフルな散歩は気持ちをクリアにし、ストレスを低下し、気分を高めてくれます。深くリズミカルな呼吸はコルチゾール値を下げ、静寂とバランスをもたらしてくれます。マインドフルネスを意識した体の動きは、エンドルフィンの放出を促し、ウェルビーイングや多幸感を高めます」

3:音楽を聴く

ゆったりとしたメロディーを聴くと、コルチゾール値が下がり、快感やリラックスした気持ちを高めるドーパミンの生成を促されるという言われている。

心理学者のシムラン・シャーは「気持ちを解きほぐし、感情のバランスを整えるのに効果的なのは、音楽セラピーです」と語る。

「音楽がリラックスに効果的だと言える大きな要素の1つは、リズムです。私たちの脳は、リズミカルなパターンと自然にシンクロし、心拍数や呼吸、脳波に影響を与えます。ゆっくりと安定したビートは、深い呼吸を促し、生理的ストレスを低下させることでリラックスさせます。だから、集中力やリラックス感を高めるため、マインドフルネスや瞑想のレッスンでは柔らかくリズミカルな音楽が多く用いられているのです」

4:体を動かす

フィジカルかつメンタルの両方にメリットをもたらし、多忙な日に気持ちを解きほぐす方法として効果的なのが、エクササイズだ。

フィットネス専門家で、サプリなどを販売するSteadfast Nutritionの創業者でもあるアマン・ピューリはこう語る。「ジムのワークアウトでもスポーツでも、フィジカルな運動は、ストレスレベルを下げるのに非常に効果的です。コルチゾール値を調整し、ストレスを緩和してくれます。運動することで、幸せホルモンと言われるドーパミンとセロトニンが生成され、気分をあげてくれます。運動は血圧管理や代謝の調整にも効果があり、長期的なメリットもあります。高コレステロールや肥満、糖尿病の症状を整え、不安も抑えてくれます」

5:深呼吸を重ねる

忙しかった1日の終わりには深呼吸も効果的だ。神経を休め、ストレスを減らし、体内の酸素の巡りを改善し、気持ちを深く落ち着かせるのをサポートしてくれる。

自然療法を行うPrakriti Shaktiで医療責任者を務めるシージ・スリダール医師は、次のように語る。「忙しくペースの速い日々では、気持ちを解きほぐす時間を持つなど不可能に思えます。が、まずは、自分にあったボックス・ブリージングから始めてみてください。シンプルですが、ほんの数分でストレスを溶かし、気持ちを落ち着かせることができる非常に効果的なテクニックです。ボックス・ブリージングの練習は以下の方法で。まずできるだけ長く深く息を吸い込みます。次に息を止めてから、ゆっくりとすべて息を吐き出します。最後に、息を吸い込んでとめたときと同じ時間だけ、また息をとめます。これが完全に息を吐き出すサイクルを作り、体をリセットします」

パーソナルトレーニングを行うIntermittent Fasting and Mindful Livingの共同創設者でフィットネス専門家のニーラ・カパディアも、呼吸法について教えてくれた。「私の好きな呼吸法は2つ。1つはボックス・ブリージングで、もう1つは腹式呼吸です。腹式呼吸は、ゆっくりと鼻から息を吸い込み、横隔膜を広げ、胸はそのままでお腹を膨らませます。そして、口からゆっくり息を吐きますが、このとき体のコアを意識してお腹を凹ませて息をしっかりと吐き切りましょう」

6:人と会う

友人や家族と時間を過ごし、笑顔を共有し意味のある会話をすると、人とのつながりを感じられ孤独感が減少する。

エモーショナルインテリジェンス(EI、自分や他者の感情を思いやることができる力)とマナーのコーチであるテイラー・エリザベスはこう語っている。

「大切なのが、社会との関わりを築くことです。アメリカ心理学会の研究で、社会と強く結びつきを持つとストレスが劇的に減り、健康が全体的にアップすることがわかっています。人と支え合える関係がある人は、健康的に長生きできる可能性が50%上がるといいます。食事を共にしたり、友人に連絡をとったりすると一体感を得られるだけでなく、既存の関係が補強され、人生を豊かにしてくれます。これは、エモーショナルインテリジェンスが教えてくれることです。心を解きほぐすことは、単にリラックスするだけではなく、若返りも促してくれます。心を休めることを優先し、大切にしましょう。これは自分自身への投資です。解きほぐしの美学を大切に!」

From: GQ IndiaTranslated and adapted by Soko

ストレスを上手く発散することは、心臓の健康を守ることにもつながる。

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