為替市場、大幅変動に対する賭けが後退-トランプ氏関税方針の急転で
1日当たり7兆5000億ドル(約1130兆円)規模の取引が行われる外国為替市場において、トレーダーらが大きな値動きに対する賭けを後退させている。トランプ米大統領が示した過去2回の関税発動予定日の前には急激な相場変動が見込まれていたが、相互関税の発表が4月2日に予想される中でトレーダーは新たなアプローチを取り始めている。
ブルームバーグがまとめたデータによると、カナダ・ドルやユーロといった関税措置に敏感な通貨に連動するオプションでは、ボラティリティーに対する期待が過去2週間に低下している。これは、今年の早い段階にトランプ氏が関税を警告した際に為替ボラティリティー指標が急上昇した状況とは極めて対照的だ。
UBSのストラテジスト、アルビス・マリーノ、バシーリ・セレブリアコフ両氏は、発動計画を発表したものの実行されなかった最近の事例を踏まえ、関税を巡りトレーダーらが様子見姿勢を選ぶ傾向が鮮明になりつつあると指摘する。
26日付の調査リポートで両氏は、「来週の発表でトランプ政権の貿易政策が完全かつ明確には示されない可能性は十分あると、われわれはみている」とし、トランプ氏は「さらなる調査のための新たな期限を設ける」可能性があり、ここ2カ月続いている「関税の宙ぶらりん」状態がさらに延長される恐れがあると付け加えた。
カナダの輸出の75%余りが米国向けであることから、トランプ氏によるカナダ製品への25%関税賦課の脅しはカナダ・ドルに激しい値動きをもたらした。米ドル・加ドルの1カ月物インプライド・ボラティリティー(IV、予想変動率)は1月28日に7.85%で終了。その1週間後、トランプ氏は関税発動の1カ月延期を発表した。また同IVは2月25日には7.59%となった。その1週間後、トランプ氏はカナダとメキシコからの輸入品の大半に対する25%の関税について、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠した製品は4月2日まで延期する大統領令に署名した。
このIVは3月26日には6.44%で終了し、終値ベースでは2月20日以来の低水準。過去4営業日のうち3営業日で低下し、100日移動平均の6.64%を下抜けた。
ユーロ・ドルの1カ月物IVは7営業日連続で低下している。
原題:Trump Tariff U-Turns Have FX Traders Cutting Bets on Big Swings(抜粋)