超満員だったのは? Jリーグ収容率ランキング11〜20位。J1〜J3全60クラブの上位に入ったのは?【2024年】
2024シーズンの明治安田生命Jリーグは全日程を終えた。スタジアムの盛り上がりを知る上で観客動員数は重要な指標だが、収容可能人数に対してどのくらい埋まったかというのも大事だ。スタジアムを満員にしたのはどのクラブか。今回は、2024シーズンにおけるJ1からJ3までの各クラブのリーグ戦収容率を計算。スタジアムを熱気で満たしたクラブを、ランキング形式で順位ごとに紹介する。
20位:アルビレックス新潟
【写真:Getty Images】
本拠地: デンカビッグスワンスタジアム(41,684人収容) 平均入場者数:22,430人
平均収容率:53.8%
今季のJ1リーグ戦を17位で締めくくり、なんとか残留を決めたアルビレックス新潟の平均入場者数は22,430人で、シーズン通して53.8%の収容率を記録した。
1試合平均観客数が収容人数ギリギリの40,114人を記録した2005年からは大きくその数字を落としているものの、4万人収容のデンカビッグスワンスタジアムでスタンド席の半数を埋められていることは、誇るべきことだろう。
水曜開催だった第35節の東京ヴェルディ戦の観客動員数は13,368人となり、今季最低の32.1%の収容率にとどまった。やはり平日開催は伸びが悪いのか、同じく水曜開始となった第14節の横浜F・マリノス戦も15,065人(収容率36.1%)と少ない客入りとなった。
一方で、最多観客動員となった第19節の川崎フロンターレ戦では33,885人が入場し、収容率81.3%という高い数値を叩き出している。この試合は今シーズン唯一の30,000人越えであり、来季はこの数字を1試合でも多く増やしていくことが求められる。
そのためには、ホームでの成績を向上させることが求められる。今季の4勝6分9敗という成績はJ1クラブの中でワーストであり、この数字が上向いてくれば、より多くの観客を取り込めるはずだ。
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【写真:Getty Images】
鹿島アントラーズは今季、クラブ史上最多の総入場者数437,507人を記録し、スタジアムの平均収容率は56.5%となった。
今季の鹿島は本拠地の県立カシマサッカースタジアムで18試合をこなし、第17節の横浜F・マリノス戦を国立競技場で戦った。その国立での一戦は52,860人ものサポーターが足を運んでおり、収容率は78%を記録。キャパが大きければ、その分収容率が低くなりがちだが、この試合で平均値が大きく下がったとは言い難い。
県立カシマサッカースタジアムに限った収容率は55.3%に。今季、同スタジアムにおいての最多動員数は第27節の浦和レッズ戦で33,295人(収容率86.2%)。さらに最終節のFC町田ゼルビア戦も32,840人(収容率85%)と多くの観客を呼び込んだ。
一方で6月16日(第18節)〜8月7日(第25節)の間に行われたホームゲーム5試合のうち、実に4試合で観客数20,000人以下に終わるなど苦しい数字に。平日開催が2試合(第20節ガンバ大阪戦、第25節サガン鳥栖戦)あったことも影響しているが、この期間で平均収容率が下がってしまった感は否めない。
それでも、昨季県立カシマサッカースタジアムで30,000人を超える試合がなかったことを考えると、この数字は大きな進歩だといえる。
動員増加の理由はやはり、リーグ戦成績の向上にあるだろう。一時期リーグ15位まで転落した昨季は20,000人を割る試合も多かったが、今季は好調を維持し、ホームゲーム無敗という強さも相まって、アベレージの動員数が上昇した。
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【写真:Getty Images】
来シーズンからクラブ初となるJ1の舞台で戦うファジアーノ岡山は、15,479人を収容可能なシティライトスタジアムで59.4%のスタジアム収容率を記録した。これは今季のJ2クラブで4番目に高い数字である。
今季最も収容率が高かった試合は、第23節のベガルタ仙台戦だった。夏休み真っただ中に行われた一戦には15,269人が集まり、驚異の98.6%の収容率を記録した。
また、第12節の清水エスパルス戦も14,193人を動員し、収容率91.6%を記録するなど、J2の人気クラブをホームで迎え撃つ試合は、スタジアムがいっぱいになるほどの集客に成功している。
収容率が最も低かったのは、第19節の鹿児島ユナイテッドFC戦で35.4%(5,480人)にとどまった。しかし、この試合と、水曜開催となった第8節の横浜FC戦以外は、スタジアムの半数以上にあたる7,000人以上の観客を集めた。
この集客率の高さは、チームの好調が一番の要因となっているだろう。シーズンを通して常に上位6位以上に位置付けており、J1初昇格を狙うクラブのサポーターにとって関心度の高いシーズンとなった。ホームゲームの高い勝率も相まって、今季は大半の試合で収容率50%を超えた。
クラブ史上最多の平均入場者数を更新した今季は、昇格プレーオフも制すなど最高の1年となった。来季は夢のJ1の舞台。今季以上の集客を狙えるはずだ。
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【写真:Getty Images】
今季のFC東京は味の素スタジアムと国立競技場の両方で多くの観客を集め、62.5%のスタジアム収容率を記録した。
昨季の平均入場者数が29,410人だったFC東京だが、今季は同32,189人と大幅にアップした。特に大きかったのは、やはり国立競技場で行われた4試合のホームゲームだ。
今季J1全試合で最多となる57,885人の観客を動員した第23節のアルビレックス新潟戦を筆頭に、第7節の鹿島アントラーズ戦、第30節の名古屋グランパス戦で50,000人以上の観客数を記録した。新潟戦では85.4%の収容率を記録し、国立開催で唯一50,000人以下となった第6節の浦和レッズ戦でも72.3%の収容率をマークしている。
味の素スタジアムで最多収容率を記録した試合は、やはり第27節の東京ヴェルディ戦だ。この今シーズン2回目の東京ダービーでは39,921人が味の素スタジアムに詰めかけ、収容率83.4%の高水準を叩き出した。
67,000人以上収容可能な国立競技場、そして47,000人以上収容可能な味の素スタジアムの両方で安定した集客を見せたFC東京は、やはり首都クラブということもあって、Jリーグ屈指の人気クラブと言えるだろう。収容率が50%未満にとどまったのがわずか4試合(第13節柏レイソル戦、第20節北海道コンサドーレ札幌戦、第21節アビスパ福岡戦、第33節サガン鳥栖戦)であることも、それを証明している。
しかし、味スタ開催の試合の勝率は要改善だ。国立開催4試合で全勝なのに対し、味スタでは3勝6分6敗と大きく負け越している。この苦手意識をなくすことが、集客増の1番の近道となるはずだ。
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今季の京都サンガF.C.は前半戦の絶不調で生まれたマイナスを、後半の快進撃で取り返すシーズンとなった。スタジアムの平均収容率も、チームの結果に推移するように上下している。
前半戦はホームで勝てない日々が続き、開幕7連敗を喫することに。連敗中の第13節アビスパ福岡戦は観客数が9,498人に留まり、43.9%の収容率となってしまった。それでも、夏の的確な補強でチームの調子が上向き始めると、スタジアムも活気を取り戻した。
今シーズン最も収容率が高かった試合は第31節のガンバ大阪戦で94%。2,0323人の観客を動員した。。さらに、次のホーム戦の第33節ヴィッセル神戸戦も19,082人で88.2%の収容率をマークしており、関西クラブとの対戦の注目度が高いことがうかがえる。
後半戦はほかにも、第23節の浦和レッズ戦や最終節の東京ヴェルディ戦など、収容率75%を超える試合も多く、結果的にクラブ史上2番目に多い13,535人の平均入場者数を記録した。この勢いを来シーズン開幕時から維持することが出来れば、本拠地への客足はさらに伸び、クラブ記録を更新することが出来るはずだ。
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浦和レッズは62,010人の収容可能人数を誇る埼玉スタジアム2002を本拠地としながら、62.7%のスタジアム収容率をマークした。平均入場者数37,519人はJリーグ全60クラブの中でダントツの数字となっている。
一時は降格圏付近を彷徨うほど低迷した今季だったが、昨季と比べると平均入場者が7,000人ほど増加しており、ファンの関心は上昇し続けているようだ。
最も多くの観客を集めた試合は、シーズン最終戦のアルビレックス新潟戦だ。長年チームを支えてきた興梠慎三と宇賀神友弥の引退試合が行われたこともあり、国立競技場クラスと言ってもいい55,184人の大観衆がスタンドを埋め尽くした。この試合の収容率は89%となった。
そのほかにも、ホーム開幕戦となった第2節の東京ヴェルディ戦で5,0863人(収容率82%)、第19節の鹿島アントラーズ戦で48,638人(収容率78.1%)と高い集客力を発揮しており、40,000人越えの試合が9試合もあった。
浦和の次なる目標は、平均入場者数が40,000人を超えていた00年代後半の熱気を取り戻すことだろう。そのためには平均64.5%の収容率が必要になる。この数字を可能にするには、やはりピッチ上の結果が求められてくるはずだ。
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昨季リーグ16位と低迷したガンバ大阪だが、今季はリーグ4位と見事に復活した。今季の平均入場者数も26,096人と昨季から3,000人ほど増加する大幅な伸びを見せた。それにともない、スタジアム収容率も65.7%の数字を記録している。
今季最も収容率が高かった試合は、リーグ最終節のサンフレッチェ広島戦となった。三つ巴の優勝争いを展開した広島との一戦は注目度の高いものとなり、34,653人が来場。この試合の収容率は87.3%を記録した。
そのほかにも第12節のセレッソ大阪との大阪ダービーで34,485人を集め、86.9%の収容率をマークするなど、30,000人を超える試合が多くみられた。
今季は観客動員がとても安定しており、収容率50%、すなわち20,000人台を割った試合はわずか3試合に。この3試合はいずれも平日開催の試合であり、今季の集客はかなり順調だったと言えるだろう。
G大阪の最多動員シーズンはコロナ禍前の2019年シーズンに記録した27,708人となっている。来季もこの調子を堅持することができれば、この記録を更新することは十分可能だといえるはずだ。