SNS混迷の時代に“復活”、新たな国産SNS「mixi2」が目指していること

招待制の国産SNS「mixi2」のサービスが、12月16日に突如として始まった。名称に「2」とあるように、2004年にスタートして日本で大流行した国産SNS「mixi」の新しいバージョンという位置づけになる。つまり、20年を経て後を継ぐサービスが登場したわけだが、旧mixiも従来と変わらず運営されるという。

新旧両方のサービスが並走することからわかるように、新しいmixi2は旧mixiとは少し異なるサービスだ。長文を投稿できた旧mixiとは異なり「X」に近い短文投稿型で、149.3文字(「ミクシィ」という言葉を数字の「3941」に置き換えて逆に並べたとみられる。実際に入力できるのは150文字まで)の文章と、写真、動画などを投稿できる。友達を申請して相互につながる「マイミク」機能が特徴だった旧mixiとは異なり、一方から「フォロー」することで関係性を構築する仕組みもXと同様だ。

オレンジ色を基調とした丸みを帯びたUIなど、旧mixiの親しみやすい雰囲気のままスマートフォンアプリへと進化した「mixi2」。投稿にスタンプで反応できるなど、ユーザー間のコミュニケーションを重視してつくられている。

Photograph: MIXI

いま、ソーシャルメディアの世界は“混迷”の時代にあると言っていい。X(旧Twitter)やFacebook、InstagramなどのSNSは広告収益を最大化すべく、読み手の目と気持ちを引き付ける投稿を中心に表示するようにアルゴリズムを“最適化”するようになった。

それがアテンションエコノミーという悪循環を生み出し、偽情報までも流通させるプラットフォームになり、大統領選挙や株価、戦争にさえ影響を及ぼすまでになっている。人の気持ちをつなぐはずだったSNSは、いまや人々を分断するまでになってしまったのだ。

こうしたなか、なぜ、いま、新しいSNSなのか。

「最もニーズが高まったタイミングでリリースする計画でしたが、最近のXの規約・仕様変更や犯罪利用などの出来事によって特にニーズが高まっていると判断しました」と、運営元であるMIXIは説明している。「12月はユーザーが身近な人とコミュニケーションを楽しむ時期であることも理由のひとつです。より密なつながりをつくるきっかけになることを期待して、12月にリリースすることにしました」

とはいえ、2024年が旧mixi誕生から20周年ということもあり、早い段階から開発を進めていたとみられる。旧mixiが登場した2004年というタイミングはXやInstagramよりも早く、Facebookと同時期。だからこそMIXIは、この混迷の時代こそ「人の気持ちをつなぐ」ことを重視したSNSが重要であると考えたようだ。

タイムラインに広がる「やさしい」世界

mixi2ならではの特徴は、フォローしている人やコミュニティの投稿がすべて時系列で表示され、XやFacebookのようにレコメンドのアルゴリズムに支配されていないとみられる点にある。いまのところ広告も表示されない。

他の人の投稿に返信しようとすると、「やさしいことばで返信しよう」と表示されるほど、全体的に「楽しい、優しい、ほっこりとした場」であることが強調されている。

とはいえ、交流の場としての機能は旧mixiでも十分に満たされるはず。なぜ、あえて完全に新しいSNSとしてリリースしたのか。

この点についてMIXI側は、「時代の変化により、気軽さやリアルタイム性へのニーズが生まれてきていることも事実で、何らかのかたちで両立する方法がないかと模索した結果、mixi2が生まれました」と説明している。「mixiでも満たせる要素は多くありますが、mixiはゆったりとしたコミュニケーションに適しており、mixi2は手軽でリアルタイムなコミュニケーションに適しています」

ユーザーが小規模なコミュニティを作成して交流しやすい設計になっている。UIはInstagramを思わせる親しみやすいもの。

Photograph: MIXI

MIXIが特に強調しているのは、巨大テック企業が手がける既存のSNSに対する危機感だ。

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