MLB:大谷翔平の新シーズン、唯一無二のスプリットは復活するのか
- 記事を印刷する
- メールで送る
- リンクをコピーする
- note
- X(旧Twitter)
- はてなブックマーク
- Bluesky
ワールドシリーズ3連覇を目指すドジャースは13日にバッテリー組がキャンプインし、大谷翔平も早速ブルペン入りして27球を投じた。昨季を振り返り、「リハビリを終えた」と語った大谷。投手としての成長、潜在能力の上限を探る1年となる。
昨季の時点で既にフォーシーム(直球)の平均球速が手術前に比べてアップしていた(96.8マイル→98.4マイル)。加えて「Stuff +(スタッフ・プラス)」という球質(球速、変化量、スピン量などから算出)を示す数値も119(平均が100。FanGraphs版を参照。以下同)をマークし、過去最高だった2022年の122に迫った。
ただ、投げたいところに投げられているかを示す指標「Command+(コマンド・プラス)」の値は99で、わずかながらリーグ平均(100)を下回る。その数字自体も大谷のキャリアベストなのだが、投手としてステップアップするには数字の改善が求められる。大谷自身も昨年、「コマンドよりスタッフがいいのが術後」と話しており、課題を把握している。
コマンド・プラスは、ストライクゾーンに投げる単純な制球力とは異なる。大谷の与四球率(9イニングあたりいくつ四球を与えたか)は昨季1.7を記録し、過去ベストだった22年の2.4より少なかった。それでも大谷がなぜ満足していないのか、ということを考えれば、その解釈は難しくない。
コマンド・プラスとは、投げたいところに投げられるかどうかを評価したものであり、例えば、2ストライクと追い込んで右打者にスイーパーを投げる場合、ストライクゾーンに投げる必要はない。ストライクゾーンからボールになる軌道が理想だが、そうした能力を数値化している。
大谷が口にした「コマンドより、スタッフがいいのが術後」という言葉をもう少し分かりやすく補足説明すると、「コマンドのミスを、球質でカバーをしたのが昨季」ということになる。
そのコマンド・プラスの数値で足を引っ張っているとしたらスプリットか。投球数に占める割合自体が少ないので、そこまで影響しているわけではないが、今季はこのスプリットの安定こそが、もう一段、投手として上のステージを目指すのだとしたら求められるはずだ。
昨季のレギュラーシーズンにおいて、2ストライクと追い込んでからスプリットを投げたのは16球だった。ところが、たった1度しか三振を奪えなかった。それはこんなデータが裏付けする。
これは大谷のスプリットに関するデータだが、相手打者が振った割合は30%を切り、ボール球を追いかけた割合は17.2%しかない。つまり、ストライク、ボールがはっきりしていて、それだけ見極めるのが容易だったということになる。
一方、ポストシーズン最初の2試合(対フィリーズ、ブルワーズ)では同じデータがこうなった。
打者として3本塁打を放ち、先発登板して10三振を奪った10月17日のブルワーズ戦では、三振10個のうち、最後の5つはすべてスプリットで空振りを奪ったものだ。この頃、大谷はスプリットについて「間に合ってよかった」と安堵の表情を浮かべ、こう語っている。
「そういう意味では(シーズンの)最初の方に投げているスプリットは、まだ調整段階のあまり精度の高くないものだったのかなと思う」
しかしながら、投手としては納得のいかない結果に終わったワールドシリーズでは(2試合で計8回1/3投げ、11被安打、7失点、9奪三振、防御率7.56)次のようなデータが残っている。
このデータから見ても、スプリットを決め球に使えるだけで、いかに投球の幅が広がるかが分かる。大谷自身、こうスプリットを位置付けている。「ピッチングの中では大事な球種」
よって今季は、スプリットのコマンド・プラスが重要になるのだが、その改善は決して容易ではない。その理由は、大谷が投げているスプリットがそもそも少々特殊だからだ。
昨年、大谷が投げていたのは、中指を縫い目にかけて投げる「ワンシームスプリッター」という球種。これは縫い目の影響を受けやすく、横への変化量が大きくなるが、その分、高いコマンド能力が求められる。
以前にも実はこの握りで投げたことがあった。21年9月19日のアスレチックス戦。それはかつて記事にまとめ、握りのイラストも掲載した。
大谷の「ジャイロ」進化 握りと縫い目が織りなす魔球(22年1月3日電子版)
特徴としては、マックス・スタッシ現エンゼルスコーチが「これまでよりも投手から見て右(に動く)。右投手のチェンジアップのような軌道に変わっていた」と教えてくれたが、昨年のスプリットは実際、投手から見て、右に曲がりながら落ちる軌道に変わっていたので、齟齬(そご)はない。
ただ、その試合で56球も投げたあのスプリットはその後見られなくなった。結局は安定して投げられなかったのだろう。今年はどうするつもりなのだろうか。
コマンド・プラスを重視してワンシームには戻さないのか。効果を重視して、さらに仕上げるのか。アームサイド(大谷から見て右方向)に曲がる球種は左打者に特に有効なので、自在に操れるようになれば間違いなく他の球種にも好影響を及ぼすだろう。
26年の新シーズン、投手・大谷のどこに注目すべきか。そう聞かれたら、今はスプリット一択である。
- 記事を印刷する
- メールで送る
- リンクをコピーする
- note
- X(旧Twitter)
- はてなブックマーク
- Bluesky
操作を実行できませんでした。時間を空けて再度お試しください。
権限不足のため、フォローできません
日本経済新聞の編集者が選んだ押さえておきたい「ニュース5本」をお届けします。(週5回配信)
ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。
入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。
ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。
入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。