「反ユダヤ主義」留学生の強制送還も、トランプ氏が大統領令

トランプ米大統領は2月28日、大学での親パレスチナ抗議活動への参加者を含め、反ユダヤ主義的な行動をした留学生を強制送還することを可能にする大統領令に署名した。写真は2月4日、ホワイトハウス前での抗議活動の様子(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)

[28日 ロイター] - トランプ米大統領は28日、大学での親パレスチナ抗議活動への参加者を含め、反ユダヤ主義的な行動をした留学生を強制送還することを可能にする大統領令に署名した。

大学での反ユダヤ主義的な行動の鎮圧を求めてきた団体はこの動きを歓迎している。「大学での反ユダヤ主義に対抗する母親の会」の創設者のエリザベス・ランド氏はフェイスブックに2月7日付で「ビザで米国に来ている学生が私たちの子どもたちに嫌がらせをした場合には、明らかに強制送還されるべきだ」と投稿していた。

米司法省、国務省、国土安全保障省(DHS)はいずれもコメントの要請に応じなかった。

公民権を専門とする弁護士は、この大統領令は言論の自由に対する憲法上の権利を侵害する可能性があると指摘。アラブ系米国人の団体は、大統領令に異議を申し立てて提訴する用意があると説明した。

イスラム組織ハマスによる2023年10月のイスラエル攻撃と、それに続くイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃は、数カ月に及ぶ親パレスチナ派の抗議行動を引き起こして米国内の大学が揺れた。公民権団体によると、ユダヤ人やイスラム教徒、アラブ人などの中東系に対する憎悪犯罪や事件が急増した。

<大学で言論取り締まりの恐れ>

トランプ政権下で司法省は、学校と大学での反ユダヤ主義に立ち向かうタスクフォースを設置する計画を発表。教育省は反ユダヤ主義的な嫌がらせの疑いで5つの大学を調査していると発表した。

一方、大統領令は学生や職員を強制送還の対象としている。トランプ氏が1月20日に署名した大統領令は「憎悪に満ちたイデオロギーを信奉する」地域や国からの留学生を入国させなかったり、ビザを取り消したりするために「安全保障上のリスク」がある地域・国からの留学生の審査強化を求めた。

1月29日に出した大統領令では大学での親パレスチナ派のデモに関して公民権侵害の疑いで人物調査記録を作成するように要求し、これは「外国人学生・職員」の強制送還につながる可能性がある。

一部の公民権団体は、これらの大統領令が実施された場合には法廷闘争に直面する可能性が高いと言及する。米自由人権協会の言論とプライバシーの専門家、ベン・ウィズナー氏は「大統領が大学キャンパスでの言論を取り締まるべきではない」と語った。

また、米アラブ反差別委員会(ADC)は、トランプ氏の大統領復帰後に数々のパレスチナ人学生のビザが剥奪されたと説明。ADCはビザが取り消されたガザからの留学生に関して国務省へ送った電子メールの画像と、剥奪されたビザの画像をロイターに提供した。

ADCのアベド・アユーブ所長は、このガザ出身の留学生は大学での抗議活動には参加しておらず、出身地に基づいて標的にされたようだと指摘。アユーブ氏は「わが国の学生や留学生が標的にされている」と強調した。

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