日本医療政策機構(Health and Global Policy Institute) グローバルな医療政策シンクタンク
日本医療政策機構では、世界保健機関(WHO: World Health Organization)が定める世界予防接種週間(World Immunization Week)に合わせて、HGPIセミナーを開催いたします。世界予防接種週間は2025年4月24日から30日にかけて、「全ての人々に予防接種をー人類の力をもって可能なこと(Immunization for All is Humanly Possible)」をテーマに予防接種・ワクチンの普及に向けた様々な活動が世界中で実施されます。
当機構では、2020年度より国内外の専門家の方々と共に議論を重ね、ライフコースアプローチに基づいた予防接種・ワクチン政策の推進に向けた政策提言活動を進めてきました。本プロジェクトなどの活動もあり、2022年度末には新型コロナウイルス感染症等により遅れが見られていた「予防接種に関する基本的な計画(予防接種基本計画)」の見直しに向けた議論を国が再始動しました。2025年4月には、11年越しに同計画が改定される見通しです。
予防接種基本計画は今後の予防接種に関する中長期的なビジョンを示すものとされており、今回の改定では、予防接種記録のデジタル化から、一社流通が一般的なワクチンの価格や委託費等に関する調査、定期接種化の推進に至るまで多くの視点が追加されています。一方で、予防接種の実施主体である市町村の財政負担の大きさや、市町村によって異なる助成対象年齢や助成金額、それらに伴う予防接種・ワクチンへのアクセス格差等は今後の積み残し課題として同計画案にも明確に示されています。さらに、科学の進歩に伴い、抗体製剤等のワクチン以外の感染症の予防手段が生まれています。また、神経疾患や循環器疾患等の非感染性疾患、さらには老化や肥満症等、様々な領域でもワクチン開発の試みがあり、今後求められる予防接種・ワクチン政策の在り方を継続的に議論する必要性が高まっています。
そこで、今回のHGPIセミナーでは、三重大学大学院医学系研究科公衆衛生・産業医学・実地疫学分野 教授の神谷元氏をお迎えいたします。神谷先生はこれまで米国カリフォルニア州サンディエゴ郡の保健所予防接種課、米国疾病予防対策センター(CDC: Centers for Disease Control and Prevention)や国立感染症研究所等で一貫して科学的な予防接種・ワクチン政策の実現に携わってこられました。現在は日本の自治体に活動の軸を移して、三重大学で予防接種・ワクチンの業務を継続しながら、都道府県や市町村の自治体職員、地域住民との協働にも取り組んでいらっしゃいます。多様なご経験をお話いただきながら、我が国の予防接種・ワクチン政策の在り方とその未来を改めて考えます。
【開催概要】
- 登壇者: 神谷 元 氏(三重大学大学院医学系研究科公衆衛生・産業医学・実地疫学分野 教授)
- 日時:2025年4月25日(金) 18:30-19:45
- 形式:オンライン(Zoomウェビナー)
- 言語:日本語
- 参加費:無料
- 定員:500名
■登壇者プロフィール
神谷 元(三重大学大学院医学系研究科公衆衛生・産業医学・実地疫学分野 教授)
1999年3月三重大学医学部卒業、医師免許取得後聖路加国際病院小児科での研修を経て、2004年9月より米国サンディエゴ郡保健所予防接種課にて研修、勤務。 2008 年5月米国アトランタエモリー大学公衆衛生大学院にて公衆衛生修士取得。2008年8月より国立感染症研究所感染症情報センター研究員、2012年3月ロタウイルスの疫学研究で博士号を取得(藤田医科大学ウイルス・寄生虫学講座)後、米国Centers for Disease Control and Prevention(CDC)にてEpidemic Intelligence Services(EIS)にて研修。2014年8月より国立感染症研究所感染症疫学センター主任研究官、2021年4月同実地疫学研究センター主任研究官を経て2022年4月より国立感染症研究所 感染症疫学センター 予防接種総括研究官/実地疫学研究センター FETPファシリテーター併任。2024年2月より現職。専門領域は、感染症疫学、予防接種、感染症サーベイランス、小児科学。現職の他日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会委員、日本ワクチン学会理事、日本外来小児科学会予防接種委員会委員、小児科専門医、社会医学系専門医・指導医を務める。