岡山:熱気に満ちた「はだか祭り」…西大寺会陽に1万人、福を授かる「宝木」2本を奪い合う : 読売新聞

 日本三大奇祭の一つとされる「西大寺会陽」(国重要無形民俗文化財)が15日夜、岡山市東区の西大寺観音院で行われた。締め込み姿の男衆約1万人が福を授かるとされる「 宝木(しんぎ) 」2本を奪い合い、観客約3万人が見守った。(高田理那、豊島瞬)

宝木を求めてひしめく男衆(岡山市東区で)

 今回の西大寺会陽は、地域の文化財を「ストーリー(物語)」で発信する日本遺産の一つ、「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」の構成文化財に認定されてから初の開催となった。

 参加者は数人ずつで肩を組み、「わっしょい、わっしょい」と声を掛けながら練り歩いて境内へ。「 垢離取場(こりとりば) 」で冷水を浴びて身を清め、午後9時半頃には本堂に集まった。観音院によると、1人が立つスペースは一升ますほどしかなく、やけど防止の打ち水が白い蒸気になるほど熱気が満ちていた。男衆は両手を上に伸ばしながら「うおー」と雄たけびを上げ、ひしめき合った。

 午後10時、本堂の照明が一斉に消えると盛り上がりは最高潮に。住職が御福窓から、香をたきしめた宝木(直径約4センチ、長さ約20センチ)を投げ入れると、男衆は体を激しくぶつけ合い、もみ合いで渦のようになったり、本堂前の階段から転げ落ちたりしていた。

 岡山市東区の男性会社員(52)は、宝木を作る際に出る小ぶりの枝を束ねた「枝宝木」の一部をつかんだ。「握った瞬間に周りの男たちに囲まれ、その圧力がすごかった。福を授かった気がするので今年一年も健康に過ごし、来年は宝木を取りにいきます」と笑顔。初めて参加した同区の男性会社員(48)は「熱気がすごくて想像以上だった。見たことがないくらいの人のうねりに圧倒された」と話した。

関連記事: