トランプ氏、ロシアへの制裁停止は和平交渉継続のためと主張 与野党から批判も

トランプ氏、ロシアへの制裁停止は和平交渉継続のためと主張 与野党から批判も(© BBC News)

ドナルド・トランプ米大統領は18日、ロシアに対する複数の制裁措置を停止するという自分の決定は、ロシア政府を交渉に引き留めておくためのものだと述べた。トランプ氏は16日、対ロ制裁の発効を目前にこれを停止する大統領令に署名している。一連の対ロ制裁は9月に連邦議会が可決し、トランプ氏が大統領として署名したもので、この停止にはアメリカの与野党から批判が出ている。トランプ氏は自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、「私はロシアとウクライナの戦争について、和平交渉を進めている」と述べ、さらに「ロシアを交渉の場から遠ざけるような、愚かなまねはしたくない」と付け加えた。トランプ大統領はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との対立が深まる中、ロシアに対する多数の制裁措置が発効する2日前、制裁法を大統領令で一時停止した。これを受けてゼレンスキー大統領は18日、米NBCニュースに対し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の味方につくことは「歴史的な過ち」になると述べた。トランプ氏が停止させた対ロ制裁法はロシア経済を標的としたもので、ロシア産の石油・天然ガスの購入量が上位5位に入る国からの輸入品について、最大100%の関税を課せる権限を大統領に与えたもの。特に中国とインドへの影響が大きい。この対ロ制裁法には、プーチン大統領を含むロシアの高官や、ロシアの金融機関への制裁措置も含まれている。さらに既存の禁輸措置を回避するためにロシアが使う、いわゆる「影の艦隊」に対する制裁も盛り込まれている。トランプ氏は18日の投稿で、ゼレンスキー大統領が「この戦争を終わらせたくないんだ、たぶん一度も終わらせたくなかったんだ」として、「彼は今より2年前の方がましな合意ができたはずだ」とも書いた。ゼレンスキー大統領は繰り返し停戦を働きかけ、和平を望まないのはプーチン大統領の方だと力説してきた。ロシアは2022年2月にウクライナ全面侵攻を開始した。トランプ氏が対ロ制裁停止を16日に発表すると、プーチン氏のキリル・ドミトリエフ特使は、トランプ氏の決定は「重要かつ真に歴史的な瞬間だ」とたたえた。特使は、米連邦議会が9月に可決し、トランプ氏の署名をもって成立したこの制裁措置について、アメリカと世界の市場に「深刻な損害」を与えるものだったと主張した。マルコ・ルビオ米国務長官は17日に、制裁措置の停止は60日間の猶予期間で、その間にアメリカおよび世界経済への潜在的な影響を分析するのだと述べていた。アメリカでは、与野党から対ロ制裁停止について批判が出ている。野党・民主党は、トランプ大統領がロシアに譲歩し、ウクライナとゼレンスキー大統領を見捨てたと非難した。与党・共和党からも、少数ながら反対の声が上がっている。トランプ大統領を支持してきたテッド・クルーズ上院議員(テキサス州)は、制裁停止は誤りだとし、米FOXニュースに対して、アメリカ国内の燃料価格に対処する方法はほかにもあると述べた。同州選出のジョン・コーニン上院議員(共和党)も、この措置を「無謀だ」と評した。共和党のトム・ティリス上院議員(ノースカロライナ州)は、この措置は「無責任にもほどがある」と批判し、トランプ大統領はプーチン大統領に「恩を売る」のではなく、イランとの戦争を終わらせればエネルギー価格を引き下げることができると主張した。同様にドン・ベーコン下院議員(ネブラスカ州)は、米議会は今後、トランプ大統領の政策課題への資金拠出に抵抗するはずだとの考えを示した。トランプ政権は今月9日、燃料価格の引き下げを求める圧力が高まるなか、ロシア産ディーゼル燃料を輸入すると発表した。これを機に、アメリカとウクライナの関係はいっそう悪化した。ロシアは国際的な制裁を受けているものの、依然として石油を輸出しており、その多くは中国とインド向けで、割安で販売されていることが多い。フィンランド・ヘルシンキを拠点とするシンクタンク「エネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)」によると、ロシアの原油輸出の約半分が中国向け、約37%がインド向けだという。トランプ大統領は15日、米保守系メディア「ニュースマックス」に対し、ゼレンスキー大統領はプーチン大統領よりも「扱いにくい」と発言した。対するゼレンスキー大統領は16日、ブリュッセルで開かれたEU首脳会議に出席した際、「本物の指導者たちから大いに支持されていて、本当にうれしい」と発言。これは、トランプ氏に対する皮肉だと受け止められた。ゼレンスキー大統領はこれまで繰り返し、ロシアの戦争資金を制限する厳しい制裁措置を求めてきた。しかし、トランプ政権による最新の措置を受けて、同政権は今後、ロシアに対する制裁をさらに解除するだろうとの見解を示した。アメリカとイスラエルが始めたイラン戦争のため、アメリカのエネルギー価格は急騰している。トランプ氏が決めたロシア産ディーゼル燃料の購入は、この国内エネルギー価格の引き下げを目的にしたものと受け止められている。ウクライナと欧州の同盟諸国は、アメリカによるロシア産燃料購入を批判。ゼレンスキー大統領は、これはアメリカがロシアの戦争遂行に投資することに等しいと反発した。トランプ大統領がロシア側に立っているのではないかという懸念は、ウクライナが使用している米スペースX社の衛星通信システム「スターリンク」の障害によってさらに高まった。この障害のため、ウクライナがロシアの攻撃に対して自衛する能力が大きく損なわれた。ゼレンスキー大統領によると、アメリカ当局は速度制限を技術的な問題によるものだと話したが、ウクライナ当局がEU域内でスターリンクの試験運用を実施したところ、より高速な通信速度の実現を確認したという。トランプ氏は、回線速度をわざと落としたという疑惑と、ウクライナへの国防情報共有を停止したという疑惑について、どちらも否定している。

(英語記事 Trump says suspension of Russia sanctions is to keep peace negotiations going / Trump waives several Russia sanctions as row with Zelensky intensifies)

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