トランプ氏、暗号資産を国家の優先事項に位置付けも-大統領令を計画
- 暗号資産諮問委員会の創設も予定、業界の政策的優先事項を推進
- 政策見直しや法的措置停止も-国家ビットコイン備蓄創設も検討
トランプ次期米大統領は暗号資産(仮想通貨)を政策の優先事項に位置付けるとともに、次期政権に業界関係者の意見を反映させるようにする大統領令の発表を計画している。計画に詳しい複数の関係者が発表前であることを理由に匿名を条件に明らかにした。
それによれば、大統領令では暗号資産を国家的な急務ないし優先事項に指定する見通し。政府機関が業界と協力するよう誘導することを意図した戦略的表現だという。また、業界の政策的優先事項を推進するための暗号資産諮問委員会の創設も予定している。
暗号資産業界はトランプ氏を強く支持している。同業界は潤沢な資金力を持つ政治活動委員会(PAC)をてこに、ワシントンで強力な存在感を持つ。暗号資産交換業者コインベース・グローバルなどの企業はトランプ氏の就任式実行委員会に寄付している。
関連記事:暗号資産業界幹部、トランプ氏へのアクセス模索-大統領就任式控え
次期政権が計画している大統領令は暗号資産業界にとって大きな変化を意味する。2022年の暗号資産交換業者FTX経営破綻を含め、一連の詐欺事件を受けて、同業界はバイデン政権下で当局の調査・捜査や規制の対象となってきた。
このほか、暗号資産に関する政策の見直しを全ての政府機関に指示したり、暗号資産に絡んだ訴訟を停止したりする案を大統領令に盛り込むかどうかも検討中だと、関係者は語った。米証券取引委員会(SEC)が暗号資産交換業者バイナンス・ホールディングスなどを提訴していることで、法的措置の停止は業界の最優先事項の一つだ。
関係者の話では、国家ビットコイン備蓄の創設も検討されている。これは米政府による既存の保有分を含む。分析会社アーカム・インテリジェンスによると、米政府はさまざまな調査・捜査の一環として押収した約200億ドル(約3兆1000億円)相当のビットコインを保有している。
大統領令はトランプ氏が就任する20日にも発表される可能性があるものの、内容は最終確定しておらず、発表前に変更があるかもしれないと関係者は指摘した。トランプ氏の担当者にコメントを要請したが、返答は得られていない。
関連記事原題:Trump Plans to Designate Cryptocurrency as a National Priority(抜粋)