米保険会社CEO殺害、容疑者は名門大の卒業生-SNSで称賛の声も
米医療保険大手ユナイテッドヘルス・グループ幹部殺害事件に絡み逮捕された男は、「アイビーリーグ」と呼ばれる米北東部の名門私立大学を卒業していた。
ルイジ・マンジョーネ容疑者(26)は、年間の学費が3万7000ドル(約560万円)の名門男子校で卒業生総代を務めた後、ペンシルベニア大学に進学。卒業後は消費者向けに自動車関連データや価格情報を提供するトゥルーカーに就職し、データエンジニアとして急出世を遂げた。
ニューヨークの検察当局は9日、マンジョーネ容疑者をユナイテッドヘルスケアのブライアン・トンプソン最高経営責任者(CEO)殺人の罪で訴追請求した。
同容疑者は同日、ペンシルベニア州アルトゥーナで逮捕されていた。訴追請求状によると、銃の不法所持や偽造身分証明書の使用など五つの罪状で訴追請求手続きが開始され、同容疑者は同州ホリデーズバーグの裁判所に出廷した。
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マンジョーネ容疑者が本当に犯人なら、保険業界の問題に対する米国全体の怒りを実行に移した国民的英雄と考える人もいる。一方、法と秩序および道徳観が崩壊する中、企業幹部が制度的な格差のスケープゴートとして殺害される米国を象徴しているとみる向きもある。
インターネット上の情報を調査したところによると、マンジョーネ容疑者は、同じくアイビーリーグ大学の卒業生で、企業を標的にしたテロ行為で知られる「ユナボマー」ことセオドア・カジンスキー元受刑者の文章を称賛。ユナボマーの洞察力について「先見の明がある」と、書評サイト「グッドリーズ」で評していた。
あらゆる情報を総合すると、マンジョーネ容疑者はメリーランド州の裕福な家庭の出身で、恵まれた環境で育ったようだ。母親が旅行代理店の経営者であるため、全米および世界中に人脈があり、直近ではホノルルに住んでいた。
同容疑者は同州ボルチモアの名門校ギルマン・スクールに通い、16年に卒業生総代を務めた。ペンシルベニア大学では、20年にエンジニアリング、コンピューター、情報科学の学士号と修士号を取得した。
同容疑者は20年11月にトゥルーカーにデータエンジニアとして就職し、1年もたたないうちに初の昇進を果たした。22年10月までに「データエンジニアIII」となり、十数のテクノロジーを担当した。同容疑者のトゥルーカーでの雇用は23年に終了したと、同社は説明。それ以上の情報は提供しなかった。
9日夜にソーシャルメディアはマンジョーネ容疑者への称賛の声であふれた。Xでは「ルイジ」がトップのトレンドトピックとなり、「FREE HIM(彼を釈放せよ)」が7位となった。インスタグラムでは、ハッシュタグ「FreeLuigi(ルイジを釈放せよ)」の勢いが強まった。
マンジョーネ容疑者が逮捕されたアルトゥーナのマクドナルドは、逮捕後に星一つの評価を付けられた。ある投稿者は、同容疑者を警察に通報した人を「裏切り者」と批判し、別の投稿者は同容疑者について「われわれの世代で最も聡明(そうめい)な人物の1人」と評した。
原題:NYC Murder Suspect Was Ivy League Grad Who Praised Unabomber (1) (抜粋)