温室効果ガスであるメタンの大量排出に浅瀬を航行する船舶が関与していたことが判明
スウェーデン・チャルマース工科大学の主導する研究により、浅瀬を航行する船舶が海底からの大量のメタン排出に関与している可能性が高いことが判明しました。
Coastal methane emissions triggered by ship passages | Communications Earth & Environment
https://www.nature.com/articles/s43247-025-02344-8Ships trigger high and unexpected emissions of the greenhouse gas methane | Chalmers
https://www.chalmers.se/en/current/news/m2-ships-trigger-high-and-unexpected-emissions-of-the-greenhouse-gas-methane/Shipping traffic can trigger methane emissions from seafloor, study finds - The Washington Post https://www.washingtonpost.com/science/2025/07/12/seafloor-ships-methane-greenhouse-emissions/ チャルマース工科大学などの研究によると、海底の堆積物の中に閉じ込められていたメタンが、船舶の航行による圧力変化と乱流混合によって大量に放出されるとのこと。近くの荒れていない海域に比べて、船舶が航行する浅瀬では、航路でのメタン排出量が20倍も高かったとのことです。
メタンは二酸化炭素の27倍も強力な温室効果ガスですが、海底からの排出量は今の測定方法では見落とされがちだと、研究チームは指摘しています。 測定したメタン排出量を船種別で見ると、特に大型の船種であるクルーズ船やコンテナ船のほか、それらよりは小型のカーフェリーも多かったとのこと。より大きな貨物船よりもカーフェリーの方がメタン排出量が多かったことについて、研究チームで船舶交通のモデリングを担当していうチャルマース工科大学流体力学教授のリカード・ベンソウ氏は「二重プロペラを備えていること」を理由に挙げました。 今回の研究内容は、サンクトペテルブルグに近いバルト海のネヴァ湾で、別の調査を行っていた際に偶然発見されたものだとのこと。 論文の共同著者であるチャルマース工科大学のヨハン・メルクヴィスト教授は「今回の研究内容は。これまで知られていなかった海運の影響を示すものであり、特に、浅瀬に港が集中していることを考えると、地球規模で重大な影響を与える可能性があります」と述べています。 チャルマース工科大学海事環境科学教授のイダ=マヤ・ハッセローフ氏は「次のステップは、これらの影響が世界的にどれくらい大きくなるかを推定することです。中国、シンガポール、韓国の主要港やロッテルダム、アントワープ、ドイツの河川系などの港は、ネヴァ湾と似たような環境にあります。そこでも、メタンの排出量は過小評価されている可能性が非常に高いです」と述べました。
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