どうなる2026高市外交? 冷え込む日中関係・3つの注目イベントとは…
首相就任直後、トランプ大統領や習近平国家主席らとの会談で“外交デビュー”を飾った高市首相。外務省幹部は「まさにロケットスタートだった」と振り返る。しかし、首相自身の台湾有事をめぐる発言をきっかけに、日中関係が悪化。アメリカとの連携強化がより重要視される。さらに今年は、安倍元首相が外交戦略の「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を打ち出してから10年。2026年、高市外交のポイントを解説する。
(外務省担当 長谷栞里)
2025年10月、首相就任直後から立て続けに国際会議が重なった高市氏。トランプ米国大統領、習近平中国国家主席、李在明韓国大統領との首脳会談を絶え間なく行い、怒濤(どとう)の一週間での外交デビューだった。外務省幹部は「まさにロケットスタートだった」と成果を語る。
一方、首相の台湾有事をめぐる発言をきっかけに、日中関係は一気に冷え込んだ。今年は、どう改善をはかるかの戦略が問われる。
中国の反発が強まる中、高市首相、日本政府は冷静な対応をとっている。中国が事実と異なる発信を続ける現状を外務省幹部は「口先だけの攻撃だ」とし、「経済面での影響は一部にとどまっている。同じ土俵に立つべきではない」と冷静な受け止めだ。「中国は国際社会の反応、国内の反応、日本の反応を見ているのだろう。1、2か月後のすごろくがあるわけではない」として、関係改善には時間がかかるとの見方が多い。別の幹部も、「中国が求める答弁の“撤回”要求には応えようがない。日本は感情的にならずに、間違っていることは間違っていると発信することが大切」というスタンスだ。
強まる中国の反発を冷静に受け止め、日本の立場を繰り返し中国、そして世界にむけて説明するのが日本政府の基本戦略だ。そうした中、2026年はどんな展開が予想されるのか―
2026年の日中関係の行方を占う、3つの外交イベントがある。
▼日中関係を占う イベント① 4月の米中首脳会談まず注目は、4月に調整されているトランプ大統領と習近平国家主席の米中首脳会談だ。ある外務省幹部は「日中関係というのは、米中関係との“連立方程式”だ。これまで中国は、トランプ大統領との間で米中関係の悪化リスクがあり、“保険”の意味合いで日中関係の改善をはかっていた面がある」と語る。ただ、2025年10月の米中首脳会談は中国にとっては成功だったと言える。レアアースと大豆など経済面で連携を確認し、4月にはトランプ大統領の訪中というスケジュールまで描くことができた。「中国は、今の状況では日中関係を改善する必要性を感じないだろう。高市首相の台湾有事をめぐる答弁を利用して、日本と距離を取りたいのだろう」(外務省幹部)と現状を分析する。外務省幹部は「米中関係は、これまで築いた日米同盟とはクオリティー(質)が違う」と指摘する。首相は米中首脳会談前の、春ごろにアメリカを訪問し、日米首脳会談の実現を目指す。日米関係の質の高さを、どこまで中国に、そして世界にアピールできるかが問われる。▼日中関係を占う イベント② 6月のG7エビアンサミット2つ目に注目したいのは、6月にフランス・エビアンで予定されているG7サミット=主要7か国首脳会議だ。議長国フランスが中国を招待するのではないか、との見方が出ている。日本は「G7加盟国と基本的な価値を共有していない中国が参加すれば、率直な議論が難しくなる」(外務省幹部)と懸念を示している。ただ、万が一、中国が参加することになれば、「黙っているわけにはいかない」(官邸関係者)として、接触を模索するのか、アプローチの仕方をめぐる戦略が問われる。▼日中関係を占う イベント③ 11月中国でのAPEC首脳会議そして3つ目は、11月に中国・広東州の深圳で予定されている、APEC=アジア太平洋経済協力会議だ。議長国である中国に、当然日本は招待を受けることになるだろう。そして慣例上、議長国は主催者として多くの参加国との個別会談を行うため、日本との会談の可能性も高くなるとみられている。
「中国との関係は、そんなにすぐには動かない」という見方が政府内で出ているが、多くの外交関係者が、この中国での国際会議に注目していて、「動くとしたらこのタイミングでは」との声は少なくない。