英保守党の元閣僚ドリス氏、「リフォームUK」へ移籍
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イギリスのボリス・ジョンソン政権時代に文化相などを歴任したナディーン・ドリス氏が4日、最大野党・保守党を離党し、野党リフォームUKへ移籍すると発表した。
ドリス氏は、ミッド・ベッドフォードシャー選出の元下院議員。4日付の英紙デイリーメイルで、「保守党は死んだ。党員たちは今こそ『あり得ないこと』を考え、未来を見据えるべきだ」と語った。
ドリス氏は、ジョンソン氏率いる保守党政権時代に文化相や保健担当閣外相(政務次官)を務めるなど、ジョンソン氏の側近として知られていた。
保守党をめぐっては、デイヴィッド・ジョーンズ元ウェールズ担当相や、ジェイク・ベリー元党議長らが、相次いでリフォームUKに移籍している。
保守党報道官は「ナディーンの健闘を祈る」と述べた。
ドリス氏の離党は、リフォームUKの年次党大会が5日からバーミンガムで開催されるタイミングで発表された。
ドリス氏は2005年に下院議員に初当選した。それ以前は、看護師として働き、後にリバプールでの自身の生い立ちを題材にした小説シリーズを出版し、ベストセラー作家となった。
また、ITVのリアリティ番組「アイム・ア・セレブリティー、ゲット・ミー・アウト・オブ・ヒア」に出演し、一時的に保守党議員資格を停止されたこともある。
ドリス氏はデイリー・メイルへの寄稿で、保守党を離れるという決断は「私がこれまで下してきた中で最も難しい決断」で、「その決断に至るまで12カ月間も苦悩した」と述べた。
そして、自分の「核となる信念」は、1995年に保守党に所属した時と同じであり、変わったのは党であって、自分ではないとした。
また、ジョンソン氏を首相の座から排除した保守党議員は「トップを殺す、利己的」な人間だと批判した。
リフォームUKへの移籍を決めた理由については、万引きなどの犯罪増加や、移民の滞在施設としてホテルが使われている現状を挙げた。
「全国のコミュニティーに恐怖感が広がっているのを、あなた方も感じているはずだ」とドリス氏は述べた。
「今こそ行動を起こす時だ。その答えと知識、そして実行力を持つ唯一の政治家は、(リフォームUK党首の)ナイジェル・ファラージだと私は信じている」
ドリス氏は、ファラージ党首とあらゆる点で意見が一致するわけではないと認めつつも、「法と秩序の問題、移民政策、公共支出の大幅削減と経済成長の促進、そしてウクライナ支援の必要性」という点では一致しているとした。
「意見が食い違う時は、非公開の場で話し合う」とも、ドリス氏は述べた。
ドリス氏が議会に初めて提出し、ファラージ氏が強く批判した「オンライン安全法案」については言及しなかった。
与党・労働党の報道官は、「ナディーン・ドリス氏は、相当の政治的変遷を遂げてきた。かつてはオンライン安全法案を提案する閣僚だったが、今では、子供や大人を保護するための代替案なしに同法を廃止しようとする政党の一員だ」と述べた。
「これは、リフォームUKがいかに一貫性を欠いているかをはっきり表している。怒りに満ち、答えはなく、日々矛盾が積み重なっている」
野党・自由民主党の関係者は、「ケミ・ベイドノック氏とナイジェル・ファラージ氏のどちらを、より気の毒に思えばいいのか分からない」と述べた。
野党・緑の党の党首に選出されたばかりのザック・ポランスキー氏は、「ナディーン・ドリス氏がリフォームUKに加わったことに驚きはない。これは、残酷さや腐敗、そして新自由主義の崩壊という政治の論理的帰結だ」とソーシャルメディアに投稿した。