ビットコインの投機熱に落ち着き-現物・デリバティブ市場で
トランプ前米大統領の大統領選勝利で高まった暗号資産(仮想通貨)ビットコインへの投機熱は現物市場とデリバティブ(金融派生商品)市場の双方で落ち着きつつある。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が利下げを急ぐ必要性はないと発言したことを受け、ビットコインはアジア時間15日に一時8万7000ドルを割り込んだ。13日に付けた最高値から約6500ドル下げたことになる。
関連記事:パウエルFRB議長、利下げ急ぐ必要ない-経済は目覚ましく良好
K33リサーチによると、デリバティブ市場ではシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)上場のビットコイン先物と現物価格のスプレッドが縮小。アンバーデータによれば、オプション市場で権利行使価格が8万ドルのベアリッシュ(弱気)オプションの建玉(未決済残高)は過去24時間で急増した。
K33の調査責任者ベトル・ルンデ氏は「市場は落ち着きを取り戻しつつあるようだ」とし、スプレッド縮小は「リスクプロファイルの緩和を示唆するわずかな兆候だった可能性がある」と見方を示した。
5日の米大統領選投票日以来、ビットコインはトランプ氏の仮想通貨への前向きな姿勢を背景に約30%上昇している。ビットコインはいわゆる「トランプトレード」の一つと見なされており、投機家はこの上昇相場にどの程度の勢いが残っているか見極めようとしている。
トランプ氏は仮想通貨に配慮した規制枠組み構築や、ビットコイン戦略備蓄の創設のほか、米国を仮想通貨の世界的なハブにすると公約している。
以前は仮想通貨に懐疑的だった同氏だが、選挙キャンペーン中に方針を転換。ただ、公約の実現可能性と実施スケジュールには依然疑問が残る。
大統領選後に投資家は現物投資型の米上場投資信託(ETF)に純額47億ドル(約7350億円)を投じた。ブルームバーグ集計データによると、同ETF12本の総資産は約940億ドルに達している。
ブロックチェーン・先物オプション取引プラットフォーム、クリプト・バレー・エクスチェンジのジェームズ・デービス最高経営責任者(CEO)は「今はすべてが純粋な投機取引だ」とした上で、「米国の政策発表を待つ間、当面はボラティリティーの高まりと明確なシグナルの欠如が見込まれる」と指摘した。
原題:Bitcoin Speculative Fervor Cools, Traders Await Next Trump Steps(抜粋)