よりバランスの取れたEU・中国関係を 訪中のスペイン首相
[北京/マドリード 11日 ロイター] - 中国の習近平国家主席は11日、北京でスペインのサンチェス首相と会談した。中国と欧州連合(EU)はグローバル化を守り、協力して「一方的な脅迫行為」に対抗する必要があると呼びかけ、トランプ米大統領の関税政策を批判した。
習氏はいかなる貿易戦争にも「勝者はいない」と指摘した。また、世界経済の安定を維持する上でEUが重要な役割を担っていると語った。
トランプ氏が先週、「相互関税」について発表して以来、習氏がこの問題について公の場で発言したのは初めて。
サンチェス氏は会談後、事態の解決に向けて中国と米国が協議する必要があるとの認識を示した。EUと中国がよりバランスの取れた関係になることを望むとも述べた。
交渉を通じて見解の相違を解消し、共通の関心事について協力すべきだとしている。
習主席は、サンチェス氏の訪中は過去3年で3度目だと強調。現在の国際情勢で二国間関係を強化すれば、平和と安定と繁栄につながると述べた。
新華社通信によると、習氏は「中国は常にEUを多極化した国際社会における重要な極の一つとみなし、EUの結束と発展を強く支持している」と語った。
「中国とEUは国際的な責任を果たし、経済のグローバル化の流れと国際貿易環境を共同で守り、一方的な威圧行為に共に反対すべきだ」と訴えた。
世界第2位の経済大国である中国と第3位のEUは、トランプ政権の関税に対抗する能力があると強調した。
「勝者なし」
習主席はトランプ氏や米国を名指しせずに、「関税戦争に勝者はいない」と発言した。これに対しサンチェス氏は「貿易戦争は好ましくない。世界は中国と米国の対話を必要としている」と述べた。
今回のサンチェス氏の訪中は、トランプ氏の関税政策が世界に波紋を広げる中、中国との経済・政治関係を強化することが狙い。中国とEUの対話を仲介し、中国から投資を呼び込みたい考えだ。
サンチェス氏は会談の冒頭、スペインは中国をEUのパートナーと考えていると発言。「共通の関心事に取り組み、貿易と投資をバランス良く促し、それぞれのビジョンから両国の発展に利益をもたらしたい。両国社会がより緊密な絆で結ばれることを望む」と述べた。
昨年3000億ドルを超えたEUの対中貿易赤字に言及し、「関係を深める機会があると確信しているが、中国がよりバランスのとれた関係を求める欧州の要求に配慮を示すことが重要だ」との見解を示した。
サンチェス氏はスペイン大使館での記者会見で、両国が科学技術、教育、映画産業に関する協定に加え、豚肉とサクランボの輸出に関する議定書にも署名したと明らかにした。
新華社によると、習氏はスペインと中国は新エネルギー、ハイテク製造、スマートシティなどの分野で協力の可能性を模索すべきとの考えを示した。
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Joe Cash reports on China’s economic affairs, covering domestic fiscal and monetary policy, key economic indicators, trade relations, and China’s growing engagement with developing countries. Before joining Reuters, he worked on UK and EU trade policy across the Asia-Pacific region. Joe studied Chinese at the University of Oxford and is a Mandarin speaker.
Madrid-raised German-American breaking news in Spain and Portugal. Previously covered markets in Germany, Austria and Switzerland, with a special focus on chemical companies and regular contributions to Reuters' German-language service. Worked at Spanish news agency EFE (Madrid/Bangkok) and the European Pressphoto Agency (Frankfurt).