「フジサンケイレディス」は中止が決定! フジテレビ側はJLPGAに公認料や違約金など2900万円の支払いが発生
フジサンケイレディスの中止が決まり、主催者には違約金1600万円プラス公認料1300万円の支払いが発生することになる。
今季開幕戦のダイキンオーキッド(3月6~9日、沖縄・琉球GC)を次週に控えた国内女子ツアーは、同大会の中止で開幕2週目と併せて最初の2カ月で2回の空き週ができることになってしまった。
中居正広さんの問題をきっかけにCM差し止めが続くなど大炎上しているフジテレビ。関連イベントにその影響が及んでいるが、フジテレビとグループ各社(産経新聞、サンケイスポーツ、文化放送、ニッポン放送、BSフジ)主催のフジサンケイレディス(4月25~27日、静岡・川奈ホテルGC富士コース)も、例外ではなかった。
間もなく正式発表される主催者側からの開催辞退。2000年以降、天災以外でツアー日程発表後に主催者都合で試合がキャンセルになったのは、2003年「HISAKO HIGUCHI CLASSIC」、2008年「JLPGA AUSTRARIAN CHAMPIONSHIP(仮称)」の2回だけ。
2022年「GMOインターネット・レディースサマンサタバサグローバルカップ」は開催申込みを行った後で無料インターネット放送ができないことを理由に主催者側が開催を辞退したが、発表のタイミングはツアースケジュールの発表直前だった。そのため「ツアースケジュール発表後の大会中止とは区別しております」(JLPGA広報)とのことだった。今回の件は異例中の異例ということだ。
1982年にファイブハンドレッドクラブ(静岡県)で第1回大会が開催され、1996年から戦いの場は富士桜CC(山梨県)に移った。富士レイクサイドCC(同)で1回開催したのちに現在の川奈が舞台となったのは2005年から。男子のフジサンケイクラシックと日程もコースも入れ替わり、まさに女子ツアー人気が男子ツアーと逆転した象徴のような形となった。
42回の歴史を持つ人気大会の中止という衝撃は、現実にどれほどの影響が出るのだろうか。
まず、出場予定だったプロたちにとっては、総額8000万円、優勝賞金1440万円の試合が一つ減ったことになる。今年は、開幕2週目が空き週となったこともあり、シード権のない選手たちにとっては第1回リランキングまでのポイントを稼ぐチャンスが一試合減ったともいえる。
開催するはずの試合を、わずか2カ月前にキャンセルしたことで違約金も発生する。開催4週前の金曜日午後5時以前に中止が決まった場合、違約金は賞金総額の20%という規定がある。フジサンケイの場合は4月4日が開催4週間前に当たるが、今回のタイミングで中止が決まった場合は20%の違約金(1600万円)が発生することになる。
日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)に対して必要なのはそれだけではない。ツアー競技としての公認料1300万円はすでに支払われているが、これは返却されないことになっている。つまり、フジテレビ側は試合をやめたことで、JLPGAに2900万円を支払うことになる。
ちなみに違約金は、当然ながら開催時期が近くなるほど高くなる。今回の例でいうと4月4日の17時から試合前週の4月20日午後5時までは賞金総額の50%(4000万円)となり、うち30%を選手に配分。これを過ぎると賞金総額の70%(5600万円)となり、選手には50%が配分される規定となっている。
もちろん、すでに開催コースを始め関係各所で準備が始まっており、その費用も発生するのはいうまでもない。その辺りをどこまで支払うかも含め、開催中止の後始末は金銭的にも決して少なくないものになるだろう。
JLPGAは2027年以降、すべてのツアー競技を企業スポンサーではなく、自分達の主催にすることを宣言している。それがもし実現すれば『企業側の事情』での開催中止は起こらないかもしれない。だが、主催者がLPGAになったところで、特別協賛についたスポンサーへの依存が大きければ、スポンサー探しに苦労することになり試合を行うのは難しいだろう。
今回のことで、改めて観客の入場料収入を大切にし、その比重を大きくするということを考えるべきではないか。プロスポーツの基本が興行であることを軽視してきた日本のゴルフツアー。その在り方を見直さないと、スポンサーの動向に左右される今回のような状況は変わらない。