トランプ銅関税は好機、世界最大の銅線ケーブルメーカーが歓迎
- 伊プリスミアンは銅の大部分を米国内で調達、他社に比べ有利と主張
- 米政権が状況をよく理解している点に関して前向き-幹部
世界最大の銅線ケーブルメーカー、イタリアのプリスミアンは、トランプ米大統領が表明した銅に50%の関税を課す方針を歓迎している。同社は、この措置によって米国のサプライチェーンが強化され、コストが顧客に転嫁されるとの見方を示した。
プリスミアンは関税発動が予定されている8月1日を前に米政権と定期的に連絡を取っていると、投資家向け情報提供(IR)とサステナビリティー責任者のマリア・クリスティーナ・ビフルコ氏が述べた。同社は昨年、米テキサス州に拠点を置く電線メーカー、エンコア・ワイヤを40億ドル(約5900億円)強で買収した。
トランプ大統領が予想よりも高い銅の関税率を発表したことで、先週の金属市場は混乱。波乱が続く工業用商品相場が新たな展開を迎えた。トランプ氏が2月に「銅を米国に取り戻す時だ」と宣言し、関税賦課の可能性を示唆して以来、世界のトレーダーらは駆け込みで記録的な量の銅を米国に出荷してきた。
業界全体と同様、エンコアおよび上場親会社であるプリスミアンは詳細の公表を待っている。ビフルコ氏は「国内企業の保護と促進という趣旨」を踏まえれば、関税は銅の原材料だけではなくケーブルなどの半製品にも適用される見通しだと語った。
ビフルコ氏は14日のインタビューで、「米政権は非常にオープンかつセンシティブだ」とし、「状況を非常によく理解している。われわれはこの点に関しては前向きだ」と述べた。
プリスミアンはテキサス州ダラス郊外の大規模施設で年間22万トン規模のケーブルを生産。同社は銅の大部分を米アリゾナ州フェニックスに本拠を置くフリーポート・マクモランから調達しているほか、垂直統合が進んでいるため、競合他社と比べると関税から恩恵を受けやすい状況にあるとの見方を示した。
ビフルコ氏は「これは米国内の企業のリーダー的地位をさらに強化することになる。当社は他社よりも有利な立場にある」と語った。
原題:World’s Top Cable Maker Sees US Copper Tariff as Opportunity (1)(抜粋)