G7財務相会議、非関税問題で結束目指す 米の反発も
[ワシントン/バンフ/カルガリー 19日 ロイター] - 主要7カ国(G7)はカナダ西部アルバータ州バンフで今週、財務相・中央銀行総裁会議を開催する。非関税問題での一致を目指すが、同盟国に米国の利益を優先させようとするトランプ政権との合意形成は困難とみられる。
G7関係者や専門家によると、参加国はトランプ氏の関税政策や、気候変動、国際租税協力、ウクライナに関する政策転換を巡って、G7が分裂することを避けたいと考えている。
そのためには、声明文を簡略化し、一部の議題を回避することが必要になるかもしれない。
米国に関する説明を受けている情報筋によると、米財務省はG7財務相会議でいかなる貿易交渉の合意も発表されるとは考えておらず、米国の利益に資するものでない限り会議の共同声明には同意しない姿勢という。
この情報筋は報道陣に対し、ベセント米財務長官が日本との貿易交渉に臨むとした一方で、追加の交渉は米首都ワシントンで実施する見込みだと説明。その上で「G7で何かが発表されるとは思っていないが、既に数々のG7参加国との貿易に関して実質的な進展があった」と語った。
また、米国は共同声明を出すことに「一般原則」としては前向きなものの、同意するには文言が米国の見解に沿っている必要があるとして、「(トランプ米)政権の優先事項に沿う範囲でのみ署名する」と指摘した。
ただ、議長国カナダは6月のG7首脳会議に向けた基礎となる共同声明で合意を取り付ける決意のようだ。
G7政府筋によると、共同声明の草案はすでに作成されており、カナダは幅広い問題でG7の結束を示す合意形成に取り組んでいるという。
これにはロシアの侵攻を受けるウクライナへの幅広い支持表明が含まれる見通しだ。
また、米財務省の報道官は、ベセント氏がG7参加国の日本、カナダ、英国、フランス、イタリア、ドイツに対し、中国などの非市場経済国による「世界経済の不均衡の原因となっている不公正な経済政策に対処するよう働きかける」との見通しを示した。
ベセント氏はこれまでに、国内企業の輸出競争力向上に向けて巨額の補助金を支給し、国家主導の融資を手がけている中国の経済モデルが産業の過剰生産能力を生み、商品の輸出を通じて安価な商品を世界中に氾濫させており、G7のような市場経済国の雇用と企業を脅かしていると問題視してきた。
格付け会社ムーディーズ・レーティングスが16日に米国債の格付けを最上位の「Aaa」から「Aa1」に引き下げたことと、米国債務の増加に対する懸念についても財務相会議で話し合われるのかとの質問に対し、報道官は財務省では「誰も」格付けの引き下げを気にしていないと主張した。
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