岩手・大船渡の山林火災、市人口1割超の4600人に避難指示…受け入れできない避難所や車中泊の人も : 読売新聞
岩手県大船渡市の山林火災は、発生から4日目となった1日も広範囲で延焼が続き、焼失面積は約1400ヘクタールに広がった。新たに141世帯333人に避難指示が出され、対象は市人口の1割超となる1896世帯4596人に拡大。避難者が集中した一部の避難所では、満員で受け入れができない状態となった。住民からは避難の長期化を懸念する声も上がっている。
消火活動が続く火災現場(1日、岩手県大船渡市で)=関口寛人撮影1日は、前日より1機多いヘリコプター17機態勢で消火活動にあたり、自衛隊の大型ヘリ6機や岩手、宮城、福島各県の防災ヘリなどが散水を行った。地上からも消防隊員らが放水を続けたが、延焼範囲は拡大している。鎮火が見通せない状況に住民は不安を募らせており、同市の牧師(41)は「延焼のスピードが速く、どんどん市街地に押し迫っていて怖い」と表情をこわばらせた。
火災は2月26日、同市赤崎町合足地区で発生。これまでに住宅など80棟以上が焼損したとみられるが、詳しい状況は調査できていない。避難指示が出ている同市三陸町 綾里小路(りょうりこじ) では、1人の焼死体が見つかっている。現時点でほかに、けが人や行方不明者の情報などは入っていないという。
市は現在、公民館や小学校など市内11か所に避難所を開設。1日午後6時時点で計1172人が身を寄せており、一部では満員となる避難所も出ている。
同市の男性(91)は同日朝、避難所に指定された 猪川(いかわ) 小学校体育館を訪れたが、定員に達して受け入れを停止していたという。しばらく待機した後、空きが出て入ることができ、「何とか寝る場所が確保できてほっとしたが、数日で火が消えるとは思えず、避難は長引くだろう」と話した。
車中泊をする住民もおり、避難生活に疲労の色を濃くしている。ペットの猫3匹を連れた同市の男性(27)は2月28日から、妻(27)とともに同校のグラウンドで車中泊を続けている。男性は「夜はエンジンを切っているので寒い。風呂にも入れず、徐々に疲れがたまってきている」とこぼした。