世界初、深海洞窟の中で発光する生物をとらえた!新種や希少種も続々発見!人類未到の“深海の鍾乳洞”で謎の生態系を明らかにする「D-ARK」プロジェクト(藤原 義弘) - 3ページ目
一連の調査で一番大きな発見の1つが、「ウフアガリアカサンゴスナギンチャク」という新種です。
写真中央の鮮やかな黄色い生物がウフアガリアカサンゴスナギンチャクで、イソギンチャクやサンゴの仲間(刺胞動物)です。洞窟の周辺だけでなく洞窟内にもしっかり生息していたので、D-ARKプロジェクトとしては初の「洞窟内の新種」として紹介できました。
大きな発見と呼ぶには理由があって、それはこの生物が「発光」するからです。深海洞窟の中で生物の発光現象をとらえたのは世界初でした。Mini-ROVに搭載されたカメラで発光の様子を撮影できたので、ぜひご覧ください。
【D-ARK】新種のスナギンチャク類「 Corallizoanthus aureus(和名:ウフアガリアカサンゴスナギンチャク)」(動画提供:D-ARK/JAMSTEC)
──みごとに光っていますね!
じつは、この動画を撮影したとき、南大東島の小・中学校と中継をつないで特別授業をしていたんです。発光の瞬間をとらえることができて、我々も興奮しましたが、子供たちもすごく喜んでくれました。
敵の敵は味方!? なぜ深海の洞窟で光るのか
──何のために光っているのですか?
ウフアガリアカサンゴスナギンチャクは、静かに観察していても光らなくて、刺激を与えると光ります。クラゲの仲間では敵が襲ってきたときに光ることで、その敵の捕食者を呼び寄せる効果があると言われています。
──敵の敵は味方、ということですね!
このウフアガリアカサンゴスナギンチャクの発光も、同じような効果があるのかもしれません。
発光生物の中には、自身で光るのではなく共生する細菌が光る場合もあるのですが、このウフアガリアカサンゴスナギンチャクは自身が作り出す基質と酵素を使って光っているようです。
(撮影:神谷美寛/講談社写真映像部)深海洞窟で光る生物の報告はこれが初めてなので、発光する意義や発光のくわしい仕組みについての解明はまだこれからです。
洞窟に“生き残った古代魚”が存在している!?
──これまでに見つかった珍しい生物たちは、遺存種ですか?
遺存種は「かつては世界中に繁栄していたけれども、今はごく限られた場所でしか生き残っていない生物種」なので、以前は世界中で繁栄していたことを化石などで確認する必要があります。
今のところ、これまでに深海洞窟で見つかった生物の中には、明らかに遺存種と言えるような生物はいないと思います。
(撮影:神谷美寛/講談社写真映像部)深海洞窟の中の生物多様性を明らかにするのがD-ARKプロジェクトの目的です。もちろん遺存種が発見できればすばらしいですが、遺存種でなくとも洞窟固有の生物や生態系を見つけることができれば、プロジェクトとしては十分な成果だと思っています。
──古代魚では、シーラカンスが知られていますが、これが見つかる可能性はありますか?
大東島周辺では釣りによる漁業が盛んに行われていますので、これまでに知られているようなシーラカンスであれば、すでに釣り上げられているのではないかと思います.シーラカンスの生息が知られているところは、比較的大きな島や大陸の近傍です。
大東島はそれらに比べると島の規模が小さいので、典型的なサイズのシーラカンスはいないかもしれません。
ただし、島のサイズに合わせて非常に矮小化したシーラカンスが潜んでいる可能性はゼロではないと思っています。
2024年4月、2025年5月、2025年7月の調査に続いて、2025年12月にも4回目の調査に行ってきました。まだ論文にまとめているところなのでくわしくは言えませんが、日本では1回も発見されていない生物など、珍しい生物が見つかっています。
大東諸島がすごくユニークな場所であることは間違いないので、化石でしか発見されていないような生物が島の周辺で生き残っている可能性はあると思います。