「宇宙人の探査機」が太陽に接近?史上3例目の恒星間天体巡り一部専門家の説が波紋(ロイター)
天文学者らが、太陽系に飛来したとみられる新たな天体「3Ⅰ/ATLAS」の追跡を進めている。起源は不明で、恒星間天体の観測は史上3例目となる。この天体を巡っては、軌道などに通常と異なる点があるとして、「宇宙人の探査機の可能性もある」と主張する専門家もおり、議論を呼んでいる。 米航空宇宙局(NASA)によればこの天体は7月1日、チリに設置されたATLAS望遠鏡によって初めて観測された。この天体は、天の川銀河の中心方向から秒速約60キロで接近している。 天文学者らは、地球に脅威を及ぼす可能性はないとみており、最接近時でも地球と太陽の距離の約1.5倍にあたる約2億4千万キロメートルまでしか近づかないとされている。 しかし、この天体を巡って専門家の間で議論も。米ハーバード大学の天体物理学者アヴィ・ローブ氏らは、この天体の軌道などに通常と異なる特徴があるとして、宇宙人による探査機の可能性も排除すべきでないと主張している。ローブ氏はこの物体が彗星である可能性を認めつつも、科学者はあらゆる可能性を検討すべきだと述べる。 米ハーバード大学 天体物理学者 アヴィ・ローブ氏 「この天体の異常な軌道は、偵察目的で設計された可能性がある」 「それは科学者として無責任だ」――ハワイ大学天文学研究所の惑星天文学者カレン・ミーク氏は、ローブ氏の説を一蹴する。 米ハワイ大学天文学研究所 惑星天文学者 カレン・ミーク氏 「この天体が通る経路は単なる偶然であり、自然な説明が十分可能だ。通常の彗星と同様の動きをしている。(中略)太陽に近づくにつれて尾が伸び、明るくなっている。詳細はまだ不明だが、現在世界中の研究者が精力的に観測を進めている」 3Ⅰ/ATLASは10月30日頃、太陽に最接近する見通しで、その時点での距離は約2億キロメートルとみられている。 これまでに観測された恒星間天体は、2017年の「1I/オウムアムア」、2019年の「2I/ボリソフ」に続き、今回が3例目である。