はやぶさ2の探査予定天体「1998 KY26」の正体は旧ソ連の火星探査機? 受け止め方についても解説
162173番小惑星「リュウグウ」の探査を終えた、JAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」は、2026年7月に98943番小惑星「トリフネ」のフライバイによる探査を計画していますが、さらにその先の2031年に、まだ小惑星番号の無い「1998 KY26」という小惑星の探査を計画しており、可能ならば着陸を狙っています。 1998 KY26は、直径約11m(9~13m)と推定される非常に小さな小惑星で、自転周期が5.3分と短いことから、リュウグウのように多数の岩片が寄り集まった天体(ラブルパイル天体)ではなく、1枚岩で構成された天体であると推定されています。もし探査が成功すれば、たとえ着陸に成功しなくても、探査機が訪れた最小の天体の記録を更新します。直径10m程度、またはそれ以下の小さな小惑星は、 “宇宙の石ころ” と言えるほど数が膨大ですが、性質に未知な点も数多くあるため、詳細な観測が期待されています。 また、1998 KY26は小惑星ではなく彗星なのではないかという説もあります。一般的に小さな天体であるほど、計算上の公転軌道と、実際の公転軌道にはズレが生じることが知られています。ほとんどの場合、このズレはヤルコフスキー効果(太陽から受けたエネルギーを熱として放射する際に発生する力)によって説明できますが、1998 KY26の軌道のズレは、ヤルコフスキー効果だけでは説明が付きません。 ヤルコフスキー効果では説明不足な軌道のズレについて、2023年の研究では、表面から塵やガスが噴出し、その反動が軌道をズラしていると主張しています。もしもこの主張が正しい場合、1998 KY26は彗星の定義を満たす天体であることになります。その場合、地上からの観測では分からないほど、活動度が低く暗い彗星であることになります。 はやぶさ2は1998 KY26に接近するため、搭載された検出器が塵を検出し、彗星であることを証明できる可能性があります。また、接近観測では1998 KY26の正確な形状が分かります。小惑星の形状も、軌道の変化に影響する要素となるため、1998 KY26の軌道のズレの説明に彗星活動が必要かどうかもはっきりすることになります。 さらに、この2023年の研究では、1998 KY26の他にも暗い彗星の候補をあげているため、はやぶさ2の観測結果次第では、1998 KY26以外の小惑星の軌道の謎の解明にもつながるかもしれません。