情報BOX:懸念高まるアンソロピック「ミトス」、具体的な脅威とは
[20日 ロイター] - 米新興企業アンソロピックが今月発表した最新人工知能(AI)モデル「ミトス」は、同社モデルとしてこれまでで最も高性能で、防御的サイバーセキュリティー業務向けに設計されている。
このミトスがプレビュー版において「あらゆる主要な基本ソフト(OS)やウェブブラウザ」で「数千」に上る重大な脆弱性を発見した、とアンソロピックが明らかにした。このため、ミトスの極めて高い能力が従来のソフトウエアのセキュリティーに与える脅威に対する懸念が広がった。
<モデル投入の方法と提供範囲>
またアンソロピックは、重要なソフトウエア基盤の構築や維持を担う40余りの組織にも追加的なアクセスを認めている。
<懸念要素>
複数の専門家は、ミトスが以前知られていなかった脆弱性を見つけ出し、対象企業が修復可能な状態になる前に悪用しかねないと警告する。
ミトスの高度なコーディング能力や自律性は、特に銀行業界のように複雑で相互に接続され、しかも数十年前から使われている技術システムに依存している分野で、精緻なサイバー攻撃を大幅に加速させる恐れがあるというのが専門家の見方だ。
写真はアンソロピックのロゴが表示されたスマートフォンとキーボードのイメージ。2024年5月撮影。REUTERS/Dado Ruvic
アンソロピックはミトスがソフトの脆弱性を大規模に発見する能力を持つことから、悪用された場合には経済、人々の安全、さらに国家安全保障などに深刻なリスクをもたらしてもおかしくないと説明していた。
7日にミトスが発表された後、AIの進化が既存ソフト業界の破壊的混乱を招くとの不安が再燃し、9日に米ソフト関連株が急落した。
<トランプ政権や規制当局の見解>
ホワイトハウスはミトスに関してアンソロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)と話し合う場を設け、当局側の説明では協力やサイバーセキュリティー、AIの技術革新と安全性のバランスなどについて意見が交わされた。
こうした協議は、国防総省がアンソロピックに対して正式に「サプライチェーン・リスク」認定を下したにもかかわらず開催された。
ブルームバーグ・ニュースによると、米政府はミトスの一部バージョンを主要連邦政府機関で利用可能とする計画だ。
ロイターは、ベセント財務長官とパウエル連邦準備理事会(FRB)議長が、米大手行のCEOらと会合を開き、ミトスがもたらす可能性があるリスクを説明したと伝えた。
ミトスを巡っては英国でも警戒感が広がり、当局が大手行やサイバーセキュリティー担当者と協議して想定されるリスクの評価を進めている。
ドイツ銀行協会会長を務めるドイツ銀行のクリスティアン・ゼービングCEOは、欧州でも銀行がミトスに関する問題で規制当局と緊密に連携していると語った。
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