習近平おじいさん、ありがとう! 高市首相は靖国に参拝を 大手町の片隅から 乾正人

中国の習近平国家主席=10月、北京(新華社=共同)

習近平翁さまさまである。

存立危機事態に関するわが首相の国会答弁に敏感に反応し、日本への観光や留学を「自粛」するよう強力に指導してくれた。

都心億ションも下落する!?

おかげさまで、中国語があちこちで飛び交い、白タクが横行していた京都をはじめとする有名観光地の異様な喧噪(けんそう)は収まり、落ち着きを取り戻しつつあるという。代わりに日本人やそのほかの国からの観光客が増え、ホテルや飲食店といった観光産業の売り上げは、中国人観光客を主な顧客にしているホテルやバス会社以外は減っていないとか。

しかも東京五輪の選手村をベースにしたマンション群である晴海フラッグなどを買い漁(あさ)っていた中国人投資家らの動きが、ピタリと止まったという。これまたありがたい。

ここ最近、東京23区のマンション価格は急騰していた。新築マンションの平均価格は1億3309万円(4~9月、不動産経済研究所調べ)と前年同期比20・4%も高くなり、普通の日本人サラリーマンにはとても手が出せなくなった。中国人によるマンション爆買いの動きが止まれば、来年からは下落も期待できる。まさに習近平効果である。

それだけではない。上海では、日本人歌手が歌っている最中に電源が切られ、強制終了させられた。

中国でも人気のある浜崎あゆみのコンサートも中止になった。それでも彼女は、無観客の会場でコンサートで披露するはずだった曲を全部歌ったというからさすがである。

どんなに煌(きら)びやかな高層ビルが林立してもGDPが世界第2位になろうとも、彼(か)の国が文明国とは程遠い国家であることを証明してくれた。習翁は、最高の反面教師である。

今こそ靖国神社参拝の好機

何よりよかったのは、一連の騒動が、日本の安全より日中友好を第一にしている「媚中(びちゅう)派」をあぶりだすリトマス試験紙になったことだ。

首相の国会答弁を引き出した立憲民主党の岡田克也(元外相)は、日中友好議員連盟の副会長だ。兄の岡田元也が率いるイオンは、中国に展開する店舗数は20をはるかに超え、日本人歌手が嫌がらせを受けた前日に、湖南省長沙市に大規模ショッピングモールを混乱なく開業させた。

首相発言の撤回を求めている共産党や社民党の面々もしかり。

テレビのワイドショーで「ボールを投げたのは日本側」と発言した司会者は、ろくに新聞も読んでいないようだが、「世界中を見渡しても日本ほど中国ともめている国はない」と言い切ったコメンテーターは、いまどき珍しい左巻き弁護士である。

まあ習翁の怒りは、すぐには消えないだろう。来年の春節も中国人観光客は激減するだろうし、レアアース禁輸もちらつかせるはずだ。

だが、中国は大規模な反日デモを組織できない。すれば、その矛先が習体制に向かうのが確実だからだ。

まさに好機到来である。首相は、今こそ靖国神社を参拝すべきだ。

詳しくは月刊「正論」最新号収録の拙稿をお読みいただきたいが、毎年靖国を参拝した小泉純一郎は、日中首脳会談が開かれなくても平然とし、長期政権を全うした。戦後80年の節目に英霊は、早苗の参拝を待っている。=敬称略(コラムニスト)

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