「高市政権が抱える4つのジレンマ」と出る杭ムリヤリの文春・新潮 どちらが読まれるか 花田紀凱の週刊誌ウォッチング(1056)
今週、いちばんバランスの取れた編集は『週刊プレイボーイ』(Dec15th)。
トップは「高市政権が抱える4つのジレンマ」。
その4つのジレンマとは―。
①「対中関係」と「右派の期待」②「インフレ上等」と「物価高による生活苦」③「定数減を求める維新」と「党内の慎重論」④「高市内閣の人気」と「自民党の不人気」。
なかなか鋭い視点だ。
もう1本。山口亮子氏(ジャーナリスト)による好リポート。「令和の米騒動リターンズ!? コメ農政『大迷走』のツケは誰が払うのか」。
まず、鈴木憲和農水相が着任早々打ち出した「おこめ券」に疑問を。
<おこめ券は、印刷費や流通経費などが12%を占める。額面500円のおこめ券を買うと、これらの手数料として60円分が差し引かれてしまう。
「おこめ券は実質的に440円の金券。12%も手数料がかかってなんのいいことがあるかというと、全農の懐に金が入ること。そういう意味では『全農救済券』だね」(業界関係者)>
他にも「自転車の違反で〝クルマの免停〟が急増中!!」「クマ先進国に学べ! 過去最悪の被害数を更新中の日本のベスト・クマ・オプション」などなど、充実。
それにひきかえ『週刊文春』(12・11)と『週刊新潮』(12月11日号)、特集に新味がない。
『文春』のトップは「高市内閣の『存立危機事態』」、1本目は「麻生が怒りの官邸突撃 高市〝引きこもり宰相〟の急所」。
一生懸命、高市早苗首相のあら探しをして、結論は<急所だらけの高市内閣。友軍なき戦いは敗戦必至である>。
「高市内閣の『存立危機事態』」、もう1本は「小泉防衛相〝覚醒〟は幻だった」。
ASEANでオーストラリアのマールズ国防相と会談後、会談用のカンペ資料を忘れてきたりなど、こちらは「あら探し」とも言えないだけに、やや心配(本人は全否定)。
『新潮』のトップは「高市首相が大盤振る舞い 21兆円補正予算 物価高騰対策に異論噴出」で6ページ。
出る杭はムリヤリでも打つ、両誌の編集方針、もう古いのでは。
(月刊『Hanada』編集長)