ドウデュース引退で迎える新章 日刊・太田記者と語る25年競馬
2025年の中央競馬のGⅠが、23日のフェブラリーステークス(東京競馬場)で幕を開ける。日刊スポーツの競馬担当・太田尚樹(44)、朝日新聞で競馬を担当する松沢憲司(44)の両記者が、競馬の魅力や今年の競馬界について語り合った。
松沢 2024年の朝日新聞紙面で、太田さんも私も4回ずつ予想しました。太田さんは「本命」の優勝が2回、私は1回。予想は難しいですね。太田さんはどういう視点でレースを予想していますか?
太田 私は直近のレースでのパフォーマンスが一番重要だと思っています。栗東トレーニングセンターの取材を担当しているので、現場で聞いた話を加味して予想を組み立てます。
松沢 私は、血統や不利なペースでも力を発揮できていたかなどデータ重視派です。今は調教やレースの動画がサイト上で手軽に確認できるので、競馬ファンにとっていい時代になりました。
太田 競馬は「馬7(割)、騎手3(割)」と言われる世界。完璧な仕上がり具合でも、いざレースに行って馬が走る気を失ったらそれまでです。そういう部分も面白さなんだと思います。
松沢 私は父親の影響で中学生の頃に競馬に興味を持ち、血統にはまりました。17世紀まで先祖をさかのぼれる、歴史をたどれるというのに感銘を受けたんです。専門書を読みふけっていました。
太田 私は岐阜県出身で、オグリキャップは地元のヒーローみたいに思っていました。興味を持ったのは中高生くらい。大学に入って本格的に好きになって、競馬新聞を作るサークルで活動していました。
松沢 お互い、ほぼ同世代で30年以上競馬を見てきていますね。一番好きな馬は何ですか?
太田 特定の馬ではないのですが、2001年に3歳クラシックを戦った世代です。アグネスタキオンの皐月賞は、就職活動で東京にいたのでそのまま中山競馬場で観戦しました。ダービーでは「クロフネが負けたら丸刈りにする」と宣言。ジャングルポケットが勝ってクロフネは5着。それ以来、ずっと短髪です。
松沢 私はトウカイテイオーが忘れられません。度重なる骨折を乗り越え、1年ぶりに復帰した1993年の有馬記念で見事に優勝。今でも映像を見ると鳥肌が立ちます。
太田 こうやって昔のことを語り合えるのも競馬の楽しさだと思います。トウカイテイオーの時代と違い、今は馬の状態を数値化する技術や調教のノウハウが蓄積されて、休み明けでもGⅠに出走するのが当たり前になりました。
松沢 今年の3歳牡馬(ぼば)路線で主役になるであろうクロワデュノールも、4月にあるGⅠの皐月賞に直行する見込みです。
太田 昔は前哨戦で力関係がある程度見えました。今は皐月賞や桜花賞が初顔合わせ、というのが増えました。勝負付けが済んでいないから予想力が問われますが、だからこそ面白いのかなと思います。
松沢 ドウデュースという名馬が引退。今年は競馬界が「新章」を迎えますね。
太田 ドウデュースの次の軸がどの馬かは注目です。ダート路線だと、昨年米国で善戦したフォーエバーヤングが中東で世界的な大レースに挑戦中で、戦いぶりが楽しみです。女性調教師のデビューもありますし、明るい話題が取り上げられる1年になってほしいです。
上半期の中央競馬GⅠレース
2月23日 フェブラリーS(東京・ダ1600メートル)
3月30日 高松宮記念(中京・芝1200メートル)
4月6日 大阪杯(阪神・芝2000メートル)
同13日 桜花賞(阪神・芝1600メートル)
同20日 皐月賞(中山・芝2000メートル)
5月4日 天皇賞・春(京都・芝3200メートル)
同11日 NHKマイルC(東京・芝1600メートル)
同18日 ヴィクトリアマイル(東京・芝1600メートル)
同25日 オークス(東京・芝2400メートル)
6月1日 日本ダービー(東京・芝2400メートル)
同8日 安田記念(東京・芝1600メートル)
同15日 宝塚記念(阪神・芝2200メートル)
※障害レースを除く。ダはダート、Cはカップ