ロシア、ウクライナ復興に凍結資産活用で合意も 和平協議=関係筋

ロシアが欧州で凍結されている約3000億ドルのロシア資産をウクライナ復興に利用することに同意する可能性があり、その一部を実効支配するウクライナ東部の復興に充てるよう提案する方針であることが、複数の関係筋の話で分かった。写真はロシアのプーチン大統領。(2025年 ロイター/Evgenia Novozhenina)

[モスクワ 21日 ロイター] - ロシアが欧州で凍結されている約3000億ドルのロシア資産をウクライナ復興に利用することに同意する可能性があり、その一部を実効支配するウクライナ東部の復興に充てるよう提案する方針であることが、複数の関係筋の話で分かった。

ロシアが2022年2月にウクライナに対する全面侵攻を開始したことを受け、米国と同盟国は制裁措置としてロシアの中央銀行と財務省との取引を禁止。約3000億─3500億ドルのロシア資産が凍結されている。

ロシアと米国は今月18日、ロシア・ウクライナ戦争を巡る停戦交渉の初めての高官会合をサウジアラビアの首都リヤドで実施。米ロの協議は初期段階だが、関係筋によると、ロシアは和平合意の一環として凍結資産の大部分をウクライナ復興に充てる案を提示する可能性がある。

凍結資産の分配案を巡るロシア内の協議に詳しい関係筋によると、ロシアは説明責任が保証されることを条件に、凍結資産の最大3分の2をウクライナ復興に充てることに同意する可能性がある。残りの3分の1について、現在ロシアが自国の一部と見なしているウクライナ東部の占領地域の復興に充てることを提案する可能性があるという。

別の関係筋は、ロシアは凍結資産をウクライナ復興に利用することに合意する可能性はあるものの、その配分の比率を巡る具体的な議論は時期尚早と指摘。どの企業が復興事業の契約を受注するかを巡る協議が重要になるとの見方を示した。

ロイターは、リヤドで実施された米ロの高官会合で凍結資産の利用に関する提案が協議されたか確認できていない。この件に関して米ホワイトハウス、ウクライナ外務省、英外務省からコメントは得られていない。ロシア大統領府もコメントを控えている。

ルネサンス・キャピタルのリードアナリスト、オレグ・クーズミン氏は、凍結資産の大部分を管理する欧州と米国との間に見解の相違があることで、凍結解除の過程が複雑になる可能性があると指摘。「ロシアとの対話を目指す現在の米国の立場を欧州勢が完全に支持しなければ実現しない」とし、こうしたシナリオは「極めて楽観的」としている。

ロシアは現在、ウクライナ領の約20%を占領。ロシアが実効支配しているウクライナ領は、ロシアの国内総生産(GDP)の約1%を占めるにすぎないが、一部エコノミストは、戦争終結後にこれらの地域がロシア領になれば、この比率が急速に拡大する可能性があると指摘。穀物収穫量では、これらの地域はすでにロシア全体の約5%を占めている。

世界銀行は1年前、ウクライナの復興費用は4860億ドルに上るとの試算を示した。

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