トランプ関税の合憲性、米最高裁が口頭弁論開始 結果次第で世界経済に影響

米連邦最高裁は5日、トランプ大統領が1977年の国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき日本を含む世界各国に課した関税措置の合憲性を問う訴訟を巡り、口頭弁論を開始した。写真はホワイトハウスで4月撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)

[ワシントン 5日 ロイター] - 米連邦最高裁の判事らは5日、トランプ大統領が1977年の国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき日本を含む世界各国に課した関税措置の合憲性に疑問を呈した。

最高裁はこの日、同措置の合憲性を問う訴訟の口頭弁論を開始した。判事らは保守派もリベラル派も同様に、国家緊急事態の際に適用される同法がトランプ大統領に関税を課す権限を与えたのか、それともトランプ氏が議会の権限を侵害したのかについて、トランプ政権の弁護士を厳しく問いただした。

しかし、保守派判事の中には、外国との取引で大統領が持つ固有の権限を強調する者もおり、判断が大きく分かれる可能性を示唆している。

保守派のロバーツ長官は、政府を代表するサウアー訟務長官に対し、関税は「米国民に対する課税であり、常に議会の中核的権限だ」と述べた。

保守派のバレット判事は、大統領に輸入を規制する緊急権限を与えるIEEPAの文言に関税も含まれるというサウアー氏の主張に疑問を投げかけた。

また、リベラル派のジャクソン判事は、IEEPAは大統領の権限を制限するためのもので、拡大するものではないと指摘した。

最高裁が 判断を下すまで通常は 数カ月かかるが、 結果次第で 世界経済に影響が波及し得るほか、 トランプ氏が 大統領権限を行使する限界を 最高裁が どこまで容認するか占う上で大きな試金石になる。

IEEPAは米国が国家非常事態に直面した際に大統領が通商を規制することを認めるもので、トランプ大統領は同 法 を根拠に米国の貿易相手国に対する関税措置を導入。こうした形でIEEPAを利用した大統領はトランプ氏が初めてとなる。

トランプ氏は2日、最高裁が関税措置を違憲と判断すれば「われわれは無防備になり、米国は破滅し得る」と自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に投稿。この日の弁論に出席したベセント財務長官はロイターに対し、最高裁がトランプ大統領に不利な判断を下したとしても、トランプ政権は別の法的権限に切り替えるため、関税措置は当面維持されるとの見方を示した。ベセント氏はその後、FOXビジネスネットワークの番組で、弁論を通じて「非常に楽観的になった」と語った。

米国税関・国境警備局(CBP)が 公表した最新データによると、 2月4日から9月23日までの IEEPA に基づく関税収入は推計890億ドルだった。

トランプ政権はこの件について最高裁に対し迅速に判断を下すよう要請。 最高裁の9人の判事は現在、6対3で保守派が多数を占める。3人はトランプ氏が1期目の政権で任命した。

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