55型4Kディスプレーはアームで運用できるのか? 困難の先にある圧倒的没入感

 まずは、下記の写真をご覧いただきたい。

55型ディスプレーを持ち上げようとする2人のおっさん、なんじゃこりゃ?

 ……おわかりいただけただろうか?

 これはJAPANNEXTの55型4Kディスプレー「JN-i55U-U」を持ち上げようとしている、ジサトライッペイと筆者の姿をとらえたものだ。ディスプレーアームが背面に装着されているのに、なぜ2人はディスプレーを持ち上げようとしているのだろうか? まったくもって謎である。

「55型で4K解像度なのに6万円台」という衝撃

JAPANNEXTの55型4Kディスプレー「JN-i55U-U」。Amazon限定で価格は6万1981円

 謎に迫る前に、まずは2人が持ち上げようとしていたJN-i55U-Uについて説明しておこう。パネルサイズは幅が約1231mm、高さが約718mm、奥行きが90mmの55型。実物を拝見した際は、そのスケールに圧倒されてしまった。

 めったにお目にかかれないサイズだからか、美術館に展示されている名画を鑑賞しているような気分だった。高画質の4K解像度も踏まえて、ディスプレー全体から高級感があふれ出ているのだ。

 製品ページを見てみると、Amazon限定で価格はなんと6万1981円……! 「55型で4K解像度なのに6万円台」という事実に驚いた。

パネルの厚さは約90mmだが、スタンドを含めると奥行きは224mmとなる

 JN-i55U-Uは映像鑑賞(映画やドラマ、テレビ番組など)はもちろん、ゲーミングにも向いていると考えている。55型の圧倒的なサイズ感とフレームレスデザインによって、リッチな没入体験が味わえるからだ。

 上辺と左右のベゼルは約2.5mmと狭く、遠い場所からパネル全体を眺めると「画面しかない」といった印象。没入感を高めるべく、一切の無駄を省いているのだろう。そのうえ発色も良いので、映像鑑賞用の1台にふさわしいと感じた。

3840×2160ドットの4K解像度に対応。4Kの作業領域はフルHDの約4倍だ

どの角度から見ても色鮮やかな映像を映し出してくれるIPSパネル

上辺と左右は狭額縁になっている

 JN-i55U-Uのインターフェースは、映像を表示するうえで便利な端子がひと通りそろっている。オプティカル出力やコンポジット入力、HDMI×3基を備えていて、PCや家庭用ゲーム機、Blu-ray Discプレーヤーなどを接続できる。

背面にはオプティカル出力とコンポジット入力

側面にはHDMI×3基とUSB Type-Aが並ぶ

 また、動画や画像、音声ファイルが入ったUSBドライブをUSB Type-Aに挿すことで、デジタルサイネージとしても使える。再生・停止は付属のリモコンで行う。ちなみに、このリモコンは画面入力の切り替えやOSDメニュー画面の操作もできる。くれぐれもなくさないように。

デジタルサイネージ

パネルの下方にはOSDメニューの操作ボタンがある。ボタンを1回押すとメニュー表示、ボタンを長押しすると電源のオン・オフができるといった感じだ

OSDメニュー

HDMIケーブルとリモコンが付属。リモコンはOSDメニューの操作時に役立つ

 8W×2の内蔵ステレオスピーカーもポイント。実際に本機で動画を視聴してみたが、音質は申し分なしのクオリティーだった。もしサウンドの高低にこだわるのであれば、スピーカーを別途購入するといいだろう。

8W×2のスピーカーを内蔵している

 以上がJN-i55U-Uの製品概要となる。55型のビッグサイズ、美麗な4K解像度、豊富なインターフェースなど、映像鑑賞に最適なディスプレーとなっている。これだけ贅沢な雰囲気を漂わせながら6万円台は破格だろう。

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 最初に起きたトラブルは、スケジュールのミスマッチだった。検証の日程を決める際、筆者のスケジュールが合わず、ジサトライッペイと軽くもめてしまったのだ。まさか、スケジュール調整でいきなりつまずくとは……。

 以下、筆者とジサトライッペイの通話内容をまとめたものである。

ジサトライッペイ:よし、明日の金曜日に検証するぞ!

筆者:あ、すみません。明日はどうしても外せない私用がありまして……。

ジサトライッペイ:そうか、それは仕方ないな。じゃあ来週にする?

筆者:あー、来週はいろいろあるので、落ち着いたタイミングでお願いできますか。

ジサトライッペイ:わかった。じゃあ再来週はどう?

筆者:再来週ですか……。なんか予定があったような。行けるかもしれないですけど、もしかしたら行けないかもしれないです。

ジサトライッペイ:どっちなんだよ!?

筆者:行ける未来もあるでしょうし、行けない未来もあるでしょう。だから、再来週にならないとわからないですね。

ジサトライッペイ:おめぇはシュレーディンガーの猫か!はっきりせい!

筆者:じゃあ再来週で。

ジサトライッペイ:じゃあ再来週に検証するぞ!予定変わったら言ってね、子猫ちゃん。

トラブル②:ネジが合わない

 運良くスケジュールは予定通りに。しかし、JN-ARM-GM112XDVのプレートをJN-i55U-Uの背面に装着しようとした時、またトラブルが発生した。JN-ARM-GM112XDVに付属しているネジで固定しようとしたのだが、なぜか本体のネジ穴と合わなかったのだ。

 ジサトライッペイは、ネジのサイズが原因ではないかと推理。JN-i55U-Uの製品ページを見ると、VESAの固定に必要なネジは「M6」と書かれてあった(前ページに掲載したスクリーンショットでも「M6×10mm」という記載が確認できる)。

 対して、JN-ARM-GM112XDVの付属ネジは「M4」サイズ。つまり、ディスプレーアームのネジが小さかったせいで、ディスプレーのネジ穴にはまらなかったということだ。これは完全に筆者(とジサトライッペイ)の確認ミスである。


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 前ページでJN-i55U-Uの製品概要を紹介したが、1つだけ伝え忘れていたものがある。背面の中央をご覧いただきたい。

JN-i55U-Uの背面。中央にある四角い部分を見てほしい

 ……おわかりいただけただろうか?

 なんと本機は200×200mmのVESAマウントに対応しているのだ。VESAマウントの活用法としては、壁に固定する、別売りのスタンドに装着する、アームに取りつける、ディスプレー裏に周辺機器を収納するなどがあげられる。

四隅のネジ穴は、壁掛け金具やアームのブラケットなどを装着するためのもの

200×200mmの間隔サイズに対応している

 サイズや重量を考慮すると、JN-i55U-Uのような大型ディスプレーは壁掛けや別売りのスタンドに固定する使い方がふさわしく、「さすがにアーム運用は難しいだろう」と筆者は思った。

 だが、その考えをジサトライッペイに伝えたところ、「このスカポンタン!やってみないとわからないだろ!」とひどくお叱りをうけてしまった。「スカポンタン」の意味はよくわからなかったが、ジサトライッペイの叱責は至極もっともだ。検証せずに無理と決めつけるのはたしかによろしくない。


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 JN-ARM-GM112XDVは机に挟むクランプ付きのポール部に、アームの下腕部を挿し込む構造になっている。JAPANNEXTによれば、その固定位置が問題ということだった。いわく、重たいディスプレーほど高位置にしなければならなかったそうで、我々の失敗は低位置だったことによるものとのこと。

JAPANNEXT社内検証の様子。たしかにポールとアームの固定位置が高い

一方で、我々の実験時は固定位置が低い

 筆者は力学にうといが、こんなことがあるんだなと勉強になった。というわけで、リベンジだ。早速、ジサトライッペイと新たな予定を組み、編集部に向かった。

 まずは机選びだ。JAPANNEXTの社内検証の写真を見ると、JN-i55U-Uがつんのめっているように傾斜していた。これは机の厚みが足りず、クランプの固定が甘くなってしまうのだろう。というわけで、以前試したものよりも厚い机を選び、クランプをがっちり固定した。

追試の机の厚みは3cm。以前の机は2cmだったので、これである程度は傾斜が抑えられるはず

 次に、ポールと下腕部を最高位置で固定し、上腕部をセット。JN-i55U-Uにマウントを取りつけて、そーっとドッキングする。

緊張の瞬間……!

ドキドキしながら手をはなす……!

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見事、ディスプレーが持ち上がった!

 やや上部が前傾しているものの、実験は無事成功した。2日がかりの大仕事になってしまったが、こうして我々は「55型ディスプレーのアーム運用はできる」という実証を得られた。

 早速PCをつないでいろいろ試してみた。前傾と高さのおかげで、多少リクライニングしながら動画を鑑賞するにはうってつけと感じた。4K解像度と眼前に迫る巨大パネルの没入感はすさまじい。

普通サイズのディスプレーや、スタンド運用じゃ得られない圧倒的な視聴体験

 もちろん、仕事用としても便利に使えた。55型の視認性は抜群で、4Kでも文字を小さくスケーリングする必要はない。案外、狭いオフィスで全員がなにかを確認する用途にも向いているかもしれない。

アームで宙に浮いているので、設置スペースが限られた環境でもイケるはず。ただし、クランプを挟む部分の厚みは注意が必要だ

まとめ:7万円台前半で実現できる55型4Kディスプレー×アーム環境

 そんなわけで、JN-i55U-U×JN-ARM-GM112XDVのレビューは以上で終了だ。さまざまな困難に見舞われたが、完成後は快適そのもの。両方合わせても、直販価格で7万1961円と比較的安価で実現できる夢の環境と言える。

 設置スペースの都合や「55型なんてアームに付くはずがない」という先入観であきらめていた人には、ぜひ導入の参考にしてほしい。その際は、M6×10mmのネジも忘れずに。

パネル 55型IPS(ADS、半光沢) 解像度 (アスペクト比) 3840×2160ドット(16:9) 表示色 10.7億色(sRGB:96%) 輝度 320cd/m2 コントラスト比 1200:1 視野角 178度(水平)/178度(垂直) リフレッシュレート 最大60Hz 応答速度 8ms インターフェース HDMI 2.0×3、ビデオ/音声入力端子、コンポーネント入力、オプティカル出力端子、オーディオ出力、USB Type-Aほか スピーカー 8W×2 チルト - 高さ調節 - スイーベル - ピボット - サイズ/重量 約1231(W)×224(D)×772(H)mm/約11.4kg その他 HDR10、VESAマウント(200×200mm) Amazon価格 6万1981円
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