【はしか患者が増加】1回かかったから大丈夫…ではない! 防ぐ方法は?感染したらどう対処する?【専門家が解説】

[2025/05/08 06:50]

2

はしか(麻疹)の患者が増えています。ウイルスに感染することで引き起こされる病気で、感染力は非常に強いと言われています。アメリカでは、はしかに感染した子どもが今年2月に死亡し、はしかによる死者が10年ぶりに確認されました。 国内でも患者数は増加しています。はしかを防ぐ方法はあるのか、感染したらどう対処するべきか。

感染症に詳しい東京女子医科大学病院感染症科の菊池賢教授に聞きました。

(テレビ朝日デジタルニュース部 大場美優)

東京女子医科大学病院感染症科・菊池賢教授:はしかの患者はだいぶ増えていますね。2023年が28例、2024年が45例(国立健康危機管理研究機構の統計)。すでに今年は4月の段階で78例はしかの患者が報告されています。このままでいくと例年の6倍、7倍のスピードになっています。

発症している年齢層を調べてみると、ほとんど子どもではなくて、20代から40代が圧倒的に多い。既にワクチンを打ったか、はしかにかかった患者がまたなる、いわゆる「修飾麻疹(しゅうしょくましん)」という形が圧倒的に多いのではないかと思います。

話を聞いた東京女子医科大学病院感染症科の菊池賢教授

はしかは、子どもがかかると重症化することがありますし、脳炎を発症したり死亡したりするケースもあります。修飾麻疹はあまり重症化することは少なく、基本的には対症療法で対処します。

修飾麻疹は、湿疹が出ないこともあるので、はしかというふうに診断するのがすごく難しいです。はしかの患者と接触したなどのヒストリー(過去)がないと診断できないんじゃないかなと思います。

感染力は強いです。修飾麻疹も感染力が落ちるわけではないです。だから、知らない間にどんどん広げている可能性があるので、ある程度の流行になってしまうという可能性もあります。

ワクチンを打ってから大体10年経つと感染防御レベル以下になってしまいます。今まではワクチンを打ったあとも、身の回りにはしかに感染している人がいたので、知らず知らずの間にウイルスにさらされていて、その度に抗体が維持されることがあった(ブースター効果)のですが、ワクチンが行き届くと周囲にそういう患者がいなくなり、感染を防ぐ量の抗体が維持できなくなるんです。

ウイルス自体が変異した新しいウイルスがはやっているというわけではないです。

ただ、一般的に使われているはしかと風疹の混合ワクチンの供給がまだまだ足りないんです。だからワクチンを打ちたくても“物”がない。それは非常にゆゆしき事態だと思います。

東京女子医科大学病院感染症科・菊池賢教授:もちろん大丈夫です。本来は子どもがかかる病気に大人が初めて感染すると重症化しやすいです。ワクチンを打ってないってことが分かっていれば、ぜひ打ったほうがいいです。

日本は2015年にWHOから麻疹排除宣言が出て以降、日本に定着していたウイルスは発生していません。現在発症しているはしか患者のウイルスを調べると、すべて海外由来のものです。ただ、まだはしかが流行している国はたくさんあります。感染力が高いため、海外から持ち込まれたウイルスが2次感染3次感染で渡航歴のない人にも広がります。海外渡航歴がなくて感染するのは当然です。

例えば、電車の中でマスクをしていてもうつる可能性があるので、完全に身を守ることができるかといったらそれは無理だと思います。定期的にワクチンを打つしかないです。 新型コロナウイルスの流行時は人との接触を避けてきましたが、今は人と接する機会が増えています。現在行われている大阪・関西万博など、海外からの人が多く集まりやすいところは、はしかの感染リスクもやはり高いです。

唯一気を付けられるとしたら、はしかの患者が周囲で発生したかどうかという情報にちゃんとアンテナを張るということです。

あらかじめ教えていただくことがいいと思います。「はしかの患者ともしかしたら同席したかもしれない。熱が出てきたり発疹が出てきたりで、はしかになったかもしれないんですけど、受診にはどうしたらいいですか」と。病院にかかるときにちゃんとその事を告げてほしいです。

こちらも読まれています

関連記事: