センバツ21世紀枠チームが“25連敗”…それでも「そこにある意義」は? 長崎西「野球の偏差値は40切っている」高知農「うちでいいの?」からの甲子園
今年も21世紀枠で出場した2校が、センバツの初戦で敗れた。 同枠同士での対戦を除くと、これで2015年に松山東(愛媛)が勝利したのを最後に25連敗となり、不名誉な連鎖を断ち切れなかったことになる。 【写真】「みんなめっちゃ賢そう…」“偏差値72”長崎No.1公立進学校・長崎西高校の集合写真がコチラ…現地撮影の歴代21世紀枠のチーム写真も一気に見る 文武両道や環境面などのハンディキャップを乗り越えたチームに甲子園出場の機会が与えられることは、実に意義のあることだ。しかし、こうも負け続けてしまうと21世紀枠に対する疑念が深まり、いずれは「不要論」が強まってくるかもしれない。 そこを一度、踏みとどまってほしい。甲子園が「高校生が輝ける場所」である以上、やはり色彩は必要なのだ。強豪校にはない個性。21世紀枠のチームにはそれがある。今年は特にそうだった。 長崎西と高知農。両校には甲子園でプレーするに値するだけの独自性と歩みがあった。 大会2日目の第1試合。長崎西の野球に、目を覚ましたばかりの甲子園球場が揺れる。 1回表。1アウト満塁から5番バッターの岡崎憲信がボールを見極め、押し出しのフォアボールを選ぶ。滋賀の強豪である滋賀学園のお株を奪う先手で観衆を沸かせたのだ。 長崎西は制球に苦しむ滋賀学園の先発、土田義貴に対し、今度は脚を使って煽る。2-2の3回に2アウトからヒットで出塁したキャプテンの桑原直太郎が2盗、3盗と成功させてチャンスを広げ、勝ち越しを演出した。
チームは5個の盗塁を記録した。最終的に4-5と惜しくも敗れたが、長崎西は目と脚で滋賀学園を揺さぶり、追い詰めたのである。 初回に先取点のきっかけとなるヒット。逆転を許した直後の4回にはフォアボール、盗塁と一時同点をアシストした4番の細波慶吾は、長崎西の野球をこのように誇る。 「相手ピッチャーの投げるボールですとか牽制球の傾向とか、いろんな情報をかき集めて自分たちのプラスにするっていうのをモットーとしてやってきたので。データとかから得られる数字的なものが自分たちに思い切りの良さを与えてくれるというか、後押ししてくれる材料にはなっています」 東京大や京都大の現役合格者を輩出する、長崎県随一の進学校。45年ぶりの甲子園で見せたのは、まさに頭脳が光る野球だった。だが、それは最初から備わっていたものではない。日々の学習によって養われたものだと語るのが、監督の宗田将平である。 「偏差値が60、70とか勉強のできる子ではあるんですけど、野球の偏差値で言うと最初は40切っているので。そういうところからのスタートなので大変ですよ」 野球偏差値は低い。加えて平日は7時限の授業があるため、全体練習が1時間半程度と短い。選手たちはスタート時点で他のチームよりも出遅れてしまうわけだが、宗田は「学び」を与えることでそれを補っている。 代表的なものがアプリの活用だ。山口陽大をはじめとするマネージャーが開発したアプリで、打球速度や飛んだ位置などを可視化する。ほかにも一般に普及する動作解析などのツールを使って情報を収集し、チームで共有していくのだという。 「そこを強みにできていると思います」 宗田は自信を覗かせながら言う。 「いろんな視点から分析し、学んでいくという作業が好きな子たちなので。それが『野球の楽しさに繋がる』とわかれば、自分たちで勝手にやりだすんで。そこでうまくプレーに反映されれば、彼らの大きな成長になっていくと思うんですよね」