【ボクシング】寺地拳四朗2階級目の2団体王座統一 ユーリ阿久井政悟との「日本人対決」制す

12回、阿久井(左)を激しく攻める寺地(撮影・河田真司)

<ボクシング:WBA、WBC世界フライ級王座統一戦12回戦>◇13日◇東京・両国国技館

WBC王者の寺地拳四朗(33=BMB)が、WBA王者ユーリ阿久井政悟(29=倉敷守安)との「日本人対決」を12回1分31秒TKOで制し、ライトフライ級に続く2団体のベルト統一を果たした。

「僕1人では勝てない。ユーリ選手はめちゃくちゃ強くて心が折れそうだった。チームみんなの支えのおかげ。(新しいベルトは)めちゃめちゃ重みがあります」

お互いにスパーリングを重ねてきた「仲間」が、ともに世界王者として熱望してきた統一戦が実現した。世界戦のキャリアで圧倒的に勝る寺地が「僕が勝ちますけど」と強気な発言を繰り返してきた。その言葉通り、ベルトを奪い取った。

昨年10月にWBC王座の決定戦でクリストファー・ロサーレス(30=ニカラグア)に11回KO勝ちし、2階級制覇を成し遂げた。ライトフライ級では4団体王座統一にこだわったが、マッチメークの不調もあってかなわず。2階級制覇に切り替えて、これもクリアしたが「ベルト統一はそこまで固執しない」と語る。

今回が世界戦16試合目だった。ライトフライ級でWBC王座を8回連続で防衛し、矢吹正道に敗れて陥落もダイレクトリマッチで復帰。WBAスーパーとの王座統一を果たし、同級で頂点に君臨してきた。

「減量が厳しい」と決意を持ってベルトを返上しての階級変更。「結果、(ライトフライ級では)体的にしんどかった。本当はもっと早くに(階級を上げることを)決めたかった」と話していた。今回も減量は「いつもより余裕だった。普通に落とせた」と話す。ベストな階級でもあるが、「強いやつとやりたい」とさらに上の階級も見据える。

注目されたビッグマッチを制した。だれもが認める「名王者」として、その名を日本ボクシング史に刻む。その進みたい道は自分次第。年明けに33歳になった。試合後のリング上では「次はバムとやりたい」と言った。バムのニックネームを持つWBC世界スーパーフライ級王者ジェシー・ロドリゲス。王座統一の次は3階級王座制覇を目指す。今後も大きな試合、でかい相手を求めていく。

◆ラウンドVTR

1回 ユーリは開始から積極的に左ジャブ、右ストレートを決める。手数も多い。寺地は様子見の展開。時おりジャブを出した。ニッカン採点はユーリ10-9

2回 寺地が前に出始めて手数も増える。ユーリは変わらず積極的に左右のパンチ出す。打ち合いの場面も。ニッカン採点は寺地10-9

3回 前半はユーリが右からの連打を決める。寺地も下がらず、後半にボディー攻撃から活路見出す。ニッカン採点はユーリ10-9

4回 寺地がコンパクトなパンチを決める。左ボディー、右のショートアッパー、ワンツーなど多彩な攻撃。ユーリは右ストレートから連打で対抗。ニッカン採点は寺地10-9

5回 寺地が右ストレートを決めると、ユーリも右で反撃。ユーリがボディー攻撃に出ると、寺地もボディー攻撃で対抗。互いに譲らない展開。ニッカン採点は寺地10-9

6回 ユーリがプレッシャーを掛けながら連打を繰り出す。寺地も負けずに頭をつけて打ち合う。両者譲らない展開が続いた。ニッカン採点はユーリ10-9

7回 両者とも開始から足を止めて打ち合う。終盤寺地が左右の連打を決めるも、すぐさまユーリも連打を返した。ニッカン採点は寺地10-9

8回 開始から打ち合いの展開。ユーリが左右の連打を決めると、寺地も連打で対抗した。互いに1歩も譲らない。ニッカン採点はユーリ10-9

9回 寺地が左ジャブを決めながら主導権を取ろうとした。ユーリも負けずに左右の連打を決めた。 ニッカン採点は寺地10-9

10回 寺地の左ジャブのせいか、ユーリの右目付近が腫れる。それでもユーリはひるまず前進し、打ち合いを続ける。両者まったく譲らない。ニッカン採点は寺地10-9

11回 ユーリが右ストレートを決め、何度も寺地の顔をはねあげる。寺地も右ストレート、右ショートアッパーで対抗した。ニッカン採点はユーリ10-9

12回 寺地がラッシュを仕掛ける。コーナーに追い込む。ユーリの足は止まり、クリンチ。その後も寺地は連打を続ける。レフェリーが試合を止める。寺地のTKO勝利。統一王者に。

◆寺地拳四朗(てらじ・けんしろう)1992年(平4)1月6日生まれ、京都・城陽市出身。奈良朱雀高→関西大。アマ戦績は58勝(20KO・RSC)16敗。14年8月にプロデビュー。15年12月に日本ライトフライ級王者、16年8月に東洋太平洋同級王座を獲得。17年5月にWBC世界同級王座を獲得し8連続防衛。21年9月、矢吹を相手に初黒星で王座陥落も22年3月の再戦でリベンジ。同年11月、WBAスーパー王者京口との統一戦を制し、2団体王者となる。身長164センチの右ボクサーファイター。「拳四朗」は人気マンガ「北斗の拳」の主人公からで、入場曲もアニメの主題歌だが、本人は「読んだことはないです」。

【ボクシング】寺地拳四朗がユーリ阿久井政悟と王座統一戦、京口紘人は王座挑戦 ライブ速報

関連記事: