「鉄の雨」が降る灼熱の惑星で虹も観測?地球から640光年の距離に位置する「WASP-76b」(スペースチャンネル)
地球から約640光年、うお座の方向に存在する系外惑星「WASP-76b」で、信じがたい現象が起きていることが明らかになりました。この惑星では、なんと「鉄の雨」が降っていると考えられているのです。
■昼は鉄が蒸発、夜は鉄が降る
惑星「WASP-76b」のイメージ 出典:TrurleWASP-76bは、木星よりもわずかに小さい巨大ガス惑星。恒星「WASP-76」のすぐそばを、わずか1.8日という超短期間で周回しています。中心星からの距離は、地球と太陽の間のわずか30分の1。さらにこの惑星は、潮汐固定と呼ばれる現象により、常に同じ面を恒星に向けて回っているため、昼側は永遠に昼、夜側は永遠に夜という極端な環境が続いています。
WASP-76bの昼側の温度は摂氏2400度以上に達し、鉄のような金属までもが蒸発して気体になってしまうほどの高温。一方で、夜側は摂氏1400度以下と“比較的”涼しく、この温度差によって猛烈な風(時速18,000km)が吹き荒れています。
最新の観測では、昼から夜に向かう「夕方」の領域で大気中に鉄の蒸気が存在していることが確認されましたが、夜から朝にかけての「朝方」には鉄蒸気が検出されませんでした。これは、昼側で蒸発した鉄が、夜側に流れ込む途中で冷え、凝縮して「鉄の雨」となって降っている可能性を示しています。
さらに「虹」も発見か?
WASP-76bの表面のイメージ 出典:ESO/M. Kornmesser驚きはそれだけではありません。WASP-76bの大気中には「光輪(グローリー)」と呼ばれる虹のような現象が観測されたとも報告されています。これは、本来は地球や金星のように水滴が光を散乱させることで生じるもの。しかしWASP-76bでは、水滴ではなく「鉄滴」が関与している可能性が指摘されています。
WASP-76bは、2013年に「スーパーWASPプロジェクト」によって発見されたホット・ジュピター型惑星です。恒星からの距離はわずか500万kmと非常に近く、恒星「WASP-76」は太陽よりも質量が50%大きく、表面温度は500度も高い超高温の星。この極限環境の中で、惑星は巨大に膨張し、密度は土星の4分の1以下という超低密度になっています。
鉄の蒸発、凝縮、そして雨となるサイクルは、まるで惑星全体が「鉄の循環系」となっているかのよう。みなさんは、鉄の雨が降る惑星で傘をさして歩いてみたいですか?ぜひコメントお待ちしています。
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