ispace袴田CEO「次回打ち上げに影響なし」 月着陸の失敗要因特定

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宇宙スタートアップのispace(アイスペース)は24日記者会見を開き、月面着陸の失敗は月面との距離を測定する装置「レーザーレンジファインダー」にあると発表した。袴田武史・最高経営責任者(CEO)は「現時点で一部コスト増が見込まれているが、次回の打ち上げへの影響はない」と述べた。主な一問一答は以下の通り。

――6月に2回目の月面着陸を失敗した。今後、(月面輸送に関する)受注に影響はあるか。

袴田氏「受注活動に大きな影響はない。企業や宇宙機関などと話をしているが、現時点で状況が変わるようなものはない。第三者の専門家を含む新たな組織『改善タスクフォース』を立ち上げ、具体的な施策を議論し、信頼を回復していきたい」

野崎順平・最高財務責任者(CFO)「(着陸を予定していた)6月6日の時点では、原因があやふやだった。問題を特定できたことは、顧客と会話する上で大きな意義がある。例えば仮にコストが10倍になっても、宇宙で使われた実績がある部品に取り換えると品質は高まる」

――2023年に初めて月面着陸「ミッション1」に挑戦した。今回の「ミッション2」でも同じレーザーレンジファインダーを使っていたのか。

氏家亮・最高技術責任者(CTO)「サプライヤーは異なる。ミッション1では高度の計測はできていたが、サプライヤー側が製造を停止した。そのため、ミッション2では同じ製品を使えなかった。今回、サプライヤーは仕様を満たしており、メーカー側に落ち度はない」

――第三者を含めた改善タスクフォースをいつ立ち上げ、どういったメンバーを選ぶのか。

袴田氏「宇宙航空研究開発機構(JAXA)や米航空宇宙局(NASA)などから、月面着陸に経験があるメンバーを選ぶ。その上で、アイスペースのスタッフも合わせる。時期について明日にでも始めたいくらいで、数カ月程度になるだろう。できるだけ早期に立ち上げたい」

――新組織には政府機関のメンバーも入る。アイスペースは民間企業として打ち上げに関わってきたが、組織の位置づけが変わってしまうのではないか。

袴田氏「国の宇宙開発をやりたいわけではなく、今後も民間主導でやっていくのは変わらない。JAXAやNASAなど国の機関の方から意見をもらうのは重要で、実績のある人の意見を謙虚に受け入れる」

「月面着陸に2回失敗したのは事実で、自分たちに足りない視点を突き詰めたい。これは経営としてやるべきことだ。民間企業として、コストとリスクのバランスを見極めながら、実行可能なやり方を模索していく」

――27年に3回目と4回目の打ち上げを予定し、最大15億円の追加コストを見込んでいる。今後の業績への影響は。

野崎氏「15億円は決して小さくはないが、1つのミッションを立ち上げるのに必要な規模として100億円以上かかる。損益計算書への影響は徐々に出始める見通しで、今回の追加コストは十分にマネージできる」

――6月の着陸失敗以降、アイスペースの株価は低迷している。

野崎氏「株価向上策は重要だと認識している。27年に次回の打ち上げを予定し、その間に何も発表しないわけではない。次回の打ち上げに関して進捗は既に出てきている。今後、大きな契約は開示していきたい」

――コストと品質のバランスをどのように考えるか。

野崎氏「民間企業が宇宙開発に取り組む上で重要な視点だ。仮に我々が納期やコストを無視すれば、いま開発しているプロジェクトの10倍の費用になるだろう。そうなると、民間企業としてやる意味がない」

「(現在はフライトなどで実績のある部品を使用し、)誰かが使わないと宇宙には使えない。地上でできるだけ試験をし、検証していく。このチャレンジが一番難しい。最後の着陸のところに甘さがなかったのかというと、判断が誤っていたところだ」

(貴島逸斗、大西綾)

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