FRB、関税下げるなら年後半に利下げの可能性-ウォラー理事が示唆

Amara Omeokwe

  • 関税引き上げなら「インフレに影響、金利調整にさらに制約」と警告
  • 米国債への需要減に「市場は財政規律強化求めている」と指摘

米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は22日、トランプ政権が貿易相手国に対して課している関税が10%前後で落ち着けば、FRBは2025年後半に利下げする可能性があると述べた。FOXビジネスで発言した。

  ウォラー氏は「7月までに関税の10%近辺までの引き下げが確定し、実施されれば、今年の後半は良好な状況になる。そうなれば、金融当局は今年後半に利下げを行うのに良い立ち位置になる」と述べた。

  経済が全体的に堅調な一方、トランプ大統領の関税政策には不透明感があるとして、FRB当局者は今年、政策金利を据え置いている。

  トランプ氏は、数十カ国を対象に10%の追加関税を導入し、さらなる関税引き上げは一時的に見送っている。また、中国に対しては、一時100%を超える関税を課したが、現在は多くの中国製品に30%の関税をかけている。

  対中関税は一時的に引き下げられたものの、エコノミストらは、トランプ氏の通商政策が経済成長を鈍化させ、インフレを押し上げると広く予想している。

  ウォラー氏は、政権が再び関税を引き上げる方向に動けば、「インフレにさらに大きな影響を与え、短期金利の調整にさらに制約がかかるだろう」と警告した。

  ウォラー氏の発言は、トランプ氏の署名した税制改革法案が、下院で可決された直後のものだ。上院に送られるこの法案は、トランプ氏1期目の際の減税措置を延長し、米国の債務上限を引き上げるもので、国の赤字を拡大する内容となっている。

  米国の財政見通しに対する懸念が高まる中、22日には20年債の入札への需要が弱かったことから、長期国債の売りが拡大した。30年債利回りは5%を超え、2023年以来の最高水準に達した。

  予想を下回る国債市場の動向について問われたウォラー氏は、「市場は財政規律の若干の強化を求めている」と述べた。

原題:Fed’s Waller Offers Route to Rate Cuts in Second Half of Year(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE

関連記事: