「レアアース」のスゴい真実…宇宙でも「超稀少」なのに、生命にも「きわめて大きな」役割をもたらしている(桜井 弘)
レアアースがイオンになると、6s軌道や5d軌道の電子が放出されて、最外殻の電子配置(5s軌道と5p軌道の電子)はほぼ同じとなり、その内側の4f軌道の電子数が互いに異なるだけとなる。
典型元素や遷移金属元素では、原子番号が変化するにつれて最外殻の電子数も変化するため、化学的性質が互いに少しずつ違ってくるが、レアアースの場合には、元素の原子番号が変化しても最外殻の電子配置は大きくは変わらない。
原子やイオンの化学的性質は最外殻の電子配置で決まるため、レアアースイオンの化学的性質が互いにあまり変わらないのである。
photo by gettyimagesこのため、化学者たちがすべてのレアアースを分離するには100年以上の歳月を必要としたが、レアアースは超伝導磁石、パソコンやスマホ、通信、電動自転車、光学レンズ等の製造に欠かすことのできない元素群であり、現代生活を支えている金属元素である。
レアメタルとレアアースは地球上に比較的少ない、文字どおり“レアな”金属元素類であり、それぞれが固有の機能を示すために、少ないがゆえに重要な元素である。
これらもまた、「Less is more」なのである。
*
次回は、金属元素の驚愕の発見史についての解説をお届けします。
錬金術師の表情が語る衝撃「なんと、煮詰めた尿からリンが出た」…「生命維持にかかわる」金属元素、驚愕の発見史
本書の引用元 『生命にとって金属とはなにか』では、生命と金属の奥深い関係を解き明かしています。ぜひ、ご一読ください。