カナダのボンバルディア首脳、米との「F35」契約見直しに懸念表明

カナダの航空機メーカー、ボンバルディアの経営トップは、米国の関税への対抗措置としてカナダのカーニー首相が米防衛大手ロッキード・マーチンとの戦闘機「F35」納入契約の見直しを指示したことについて、懸念を表明した。

  ボンバルディアのエリック・マルテル最高経営責任者(CEO)はモントリオールで開かれたビジネス関係者の会合で、「F35の契約取り消しは良い考えかもしれないが、われわれはそれについて考える必要がある」と発言。「当社は米国防総省と契約を結んでいる。相互関係はあるだろうか」と疑問を投げかけた。

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  ボンバルディアは近年、ジェット機を軍用機に転用する防衛部門に資金を投じている。同社は米政府と通信中継機および偵察機の2件の納入契約を結んでいる。

  カーニー首相は14日、F35計88機を190億カナダ・ドル(現在のレートで約1兆9900億円)で購入する2023年の契約の見直しを命じた。この契約は取り消されてはいないが、カナダ国防省報道官は現行の契約が国民と軍にとって最善の利益になるか確認する必要があると述べている。

  トランプ米大統領は今月、「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に準拠していないカナダからの輸入品に25%の関税を賦課。アルミニウムと鉄鋼製品への25%の追加関税も導入した。トランプ氏はカナダが米国の51番目の州になるべきだとの考えを示しているが、直近の世論調査ではカナダ国民の90%がこれに反対していることが分かった。またトランプ政権の閣僚はカナダの防衛費が少ないとして厳しく批判している。

  マルテル氏は「トランプ氏は全てにおいて間違っているわけではない」とし、「われわれはしばらくの間、兄貴分の米国に守られてきた。軍事面では頼り切っている」と語った。

  ボンバルディアのビジネスの約60%は米国に由来する。同社の航空機は現在、USMCAに準拠して製造・出荷されている。

原題:Jet Maker Bombardier Warns Canada F-35 Review May Backfire (1)(抜粋)

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