性加害報道から3年、園子温さんが記者会見「もう一度映画を撮れるようになりたい、という一念で」
映画監督の園子温さんは5月27日、東京丸の内の外国特派員協会で記者会見を開いた。2022年に性加害報道があって以降、「基本的には仕事がぜんぜんできていない」と明かしたうえで、会見開催の理由について「もう一度映画を撮れるようになりたい、という一念でやっています」と述べた。
『愛のむきだし』や『冷たい熱帯魚』などで知られる園さんは、3年前の2022年4月、女性週刊誌で性加害疑惑が報じられた。
園さん側は同年5月、報道について事実と異なる点が多々あるという声明を発表。その後、版元である出版社を提訴したが、インターネット記事を全文削除することで2023年12月に和解したと事務所ホームページで明らかにしていた。
ほかにもツイッター(現X)で「ワークショップで知り合った女優に性的行為を要求していた」という内容を投稿した俳優の松崎悠希さんに対しても、名誉を傷つけられたとして損害賠償を求める裁判を起こしている。
東京地裁は今年5月16日、名誉毀損の成立を認める判決を言い渡したが、園さんはこの日の記者会見中、判決文の一部に不名誉なことがあるとして「控訴を考えています」と話した。また「侮辱罪で刑事告訴しています。彼は書類送検されています」とも明らかにした。
●投稿者の俳優は判決文を公開している
この日の会見冒頭、園さんは「この3年間、憔悴し、うつ病になり、過剰に睡眠薬を摂取して自殺を考えました。心療内科にも入院しました」「妻も肩身の狭い不安な日々を送っていました。もちろん収入も途絶え、資金も裁判に注ぎ込み、お金もなくなりました」「いわれもない誹謗中傷によって追い込まれていきました」と話した。
園さんによると、松崎さんとの裁判で争点となったのは、「俺の知り合いは園子音(ママ)とその取り巻きの『ワークショップ』に通い始めて『事務所』(マネージャー)を信用するなと教えられ、そして『一人』になったところで身体を要求された」という投稿だ。
松崎さんがX上に公開した判決文によると、東京地裁は「ワークショップで知り合った女優に対し、性的行為を要求していたことが真実であるとまでは認められない」と判断。投稿が摘示している事実の重要な部分について真実や真実であると信じるについて相当な理由があったと認められないとして名誉毀損が成立するとした。賠償金は22万円。
【裁判記録】園子温 vs 松崎悠希 判決文 (1/6)プライバシー保護のため、被害証言のみ黒塗りにしています。 pic.twitter.com/I67pY1yEsR
— Yuki Matsuzaki 松崎悠希〓️ (@Yuki_Mats) May 27, 2025
●「あのとき草津町長が亡くなっていたら、メディアは殺人鬼ですよ」
一方で、記者会見では「原告が監督と新人女優という立場が明らかになっている状況で、複数の女優に対して性的行為を要求する文面のメッセージを送信していたこと、原告が自身を性的な関係を有した女優を映画に出演させていたことは真実であることが認められる」と判決文の中で記されていたことについて、見解を問う質問があがった。
これに対して、園さんは「(性的行為を要求するメッセージの)発信者を特定しないと、つまりIP開示しないと、私が送ったものと確定できないと思うんですよ。そこまで本件で、一番メインのもの(争点)ではなかった」「裁判は主文が大事で、そういう本文は主文にしかなくて、今言っているのは、あとがき感想文みたいなところ」と答えた。
さらに次のように説明を加えた。こちらの判決文が不名誉であることから、控訴を検討しているということだ。
「裁判の遅延を防ぐため、弁護士はこれら本論と関係しない供述を否定するのみ、本論の立証活動に徹しました。このように提出された供述を争わなかったために認定された。(週刊誌で実名告発した女性の)供述は(投稿にある)ワークショップと関係ないので、弁護士は争わなかったわけです」
「実名で告発しているからと言って、本当のことを言っているとは限りません。草津町長の件をあなたはどう説明しますか。証拠のない被害申告に寄り添い、フラワーデモまでおこない、メディアがこぞって『草津はレイプの町だ』と攻撃し続けた。あのとき草津町長が亡くなっていたら、メディアは殺人鬼ですよ」
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