「ノンアルでも油断禁物!」―最新研究で明らかになった意外と危ない“ゼロビール”の落とし穴とは?(ヨガジャーナルオンライン)
健康志向の高まりや「飲まない文化」の広がりとともに人気を集めているノンアルコールビール。しかし、「お酒を控えたいから」と思って選んだその一杯が、思わぬ健康リスクを秘めていることが、最新研究で明らかになった。 <写真>最新研究で明らかになった意外と危ない“ゼロビール”の落とし穴とは? ■ノンアルビールでも糖尿病や心疾患リスクは増加の可能性 学術誌『Nutrients』に掲載された今回の研究は、アメリカ、ドイツ、スペインの国際研究チームによって行われた。研究では、健康な成人男性44名が参加し、1日2本のノンアルコールビールまたは水を4週間飲み続けるという試験を実施した。血糖値やインスリン値、中性脂肪(トリグリセリド)などを定期的に測定した結果、インスリン値の上昇(インスリン抵抗性の兆候)、血糖値の上昇、中性脂肪の増加といった変化が確認された。これらは2型糖尿病や心疾患のリスク上昇に直結するものである。特に注意が必要なのが、小麦を原料としたノンアルビールや果汁入りタイプだ。甘みやコクを補うために追加された糖分やカロリーが、こうした代謝異常の要因になっていると研究チームは指摘している。 ■「ノンアルならヘルシー」は誤解?隠れ糖質に注意 夏本番も間近。冷たい飲み物が恋しくなるこの季節、ビールの代わりにノンアルコールビールを選ぶ人も増えている。「ノンアルだからカロリーも少ない」と思っている方も多いかもしれない。しかし実際には、多くのノンアルコールビールが、アルコール入りのビールよりも糖質が多い場合がある。アルコールを取り除く過程で風味が落ちるため、代わりに砂糖や甘味料が追加されているのが原因だ。あるタイプのノンアルビールでは、通常のビールの約5倍の糖質が含まれている例もあり、1本飲むだけで1日の推奨摂取量の3分の1以上に達してしまうケースも報告されている。また、ノンアルコールワインでも同様の傾向が見られ、アルコール入りよりも糖質が多い製品も存在する。 ■ノンアル市場の拡大と若者の「飲まない文化」 こうしたノンアル製品の需要が拡大している背景には、若年層の飲酒離れがある。イギリスでは近年、ドライ・ジャニュアリー(毎年1月に1ヶ月間アルコールを断つ)やダンプ・ドリンキング(節度ある飲酒を心がける飲酒スタイル)といった「完全にやめるのではなく、適度に減らす」スタイルが定着しつつある。「お酒を飲まなくても社交の場に溶け込める。」ーノンアルコールビールはその象徴的な存在となっているのだ。 ■「飲まない」時代の新常識、表示をしっかりチェックする ビールが美味しい季節だからこそ、冷蔵庫にノンアルを常備しているという人も多いだろう。そんな今こそ見直したいのが「ノンアルだから安心」という思い込みだ。ノンアル製品を選ぶ際に大切なのは、糖質やカロリー表示を確認すること。 「糖質ゼロ」「低カロリー」の記載があるものを選ぶ 果汁入りや甘みの強いタイプは控えめに ラベルに表示された成分や栄養素を確認する習慣をつける アルコールを減らすことそのものは健康にとってプラスだが、「ノンアルだから安心」と思い込んで飲み続けると、糖尿病や肥満、心疾患リスクを招く恐れがある。今回の研究は、「ノンアル=健康」とは限らないことを改めて示した。健康を意識してノンアルを選ぶなら、成分表示を見て賢く選ぶことがこれからの新常識だ。飲み会でもアウトドアでも「ノンアルでいいや」と気軽に選ぶ前に、もうひと目ラベルを確認する―それだけで未来の健康リスクを大きく減らすことができる。 出典: Non-alcoholic beer is not as healthy as you think, says new study — as sales for it surge higher than ale Why Non-alcoholic Beer Isn’t Always the Healthy Option Alarming hidden health risks of alcohol-free beer and wine as experts issue warning Experts warn of hidden health risks of alcohol-free beverages
山口華恵