ロシア軍がウクライナを278発の長距離ドローン・ミサイル攻撃、オレシュニクがこの戦争で2回目の飛来(JSF)
2026年1月9日(現地時間1月8日深夜~1月9日夜明け)のウクライナに対するロシア軍の長距離ドローン・ミサイル攻撃は合計278飛来(ドローン242機+ミサイル36発)でした。最近の大規模攻撃としてはドローンは少なかったのですがミサイルは纏まった数が飛来しています。
※なおドローンは毎日飛来している。今年は例年と異なり年始のロシア軍の空襲の攻撃規模が比較少なかったが、ウクライナに寒波が到来(最高気温がマイナス10度)したタイミングを待って大規模攻撃を開始。
首都キーウに攻撃が集中して被害が出ています。また重大な出来事として西部リヴィウに「オレシュニク」と推定される中距離弾道ミサイル1発が飛来しており、この戦争における2回目の使用となっています。なお1回目の使用は2024年11月21日でした。関連記事:ロシア軍がオレシュニク中距離弾道ミサイルを使用しウクライナ西部リヴィウを攻撃、飛距離1600km(2026年1月9日)
2026年1月9日迎撃戦闘:ウクライナ空軍司令部
- 中距離弾道ミサイル×1飛来0撃墜 ※オレシュニク
- イスカンデルM/S-400弾道ミサイル×13飛来8撃墜
- カリブル巡航ミサイル×22飛来10撃墜
- 自爆無人機と囮無人機×242飛来226排除(飛来うちシャヘド約150)
※S-400は地対空ミサイルを対地攻撃転用したもので、準弾道飛行で超音速を発揮する。イスカンデルM弾道ミサイルと種類判別が出来ずに纏めて集計報告。
※中距離弾道ミサイル(Балістична ракета середньої дальності)はウクライナ空軍の報告ではまだ種類が言及されていないが、これについてゼレンスキー大統領(出典)はオレシュニク(Орєшнік)が飛来したと明言している。
※中距離弾道ミサイルはロシア南部のアストラハン州カプースチン・ヤールから発射されたとウクライナ空軍は報告。
※「排除」とは撃墜/抑制(ЗБИТО/ПОДАВЛЕНО)のことで、抑制とは本来は電子妨害での無力化(迷走/墜落)を意味するが、しかしここではドローンに関しては囮無人機の燃料切れ墜落による「未到達」も含む。
※合計278飛来244排除、34突破 ※阻止率88%
ウクライナ空軍より2026年1月9日迎撃戦闘の集計報告首都キーウに攻撃集中、西部リヴィウにオレシュニク飛来
ППО радар と monitorwar による共同作業の可視化地図(2026年1月9日)攻撃経路の可視化地図の出典 : https://t.me/mon1tor_ua/60648
- 橙色:弾道ミサイル(イスカンデルM/S-400:地上発射)
- 黄色:各種ドローン(シャヘド自爆無人機/ガーベラ囮無人機:地上発射)
- 緑色:巡航ミサイル(カリブル:艦船発射)
- 赤色:中距離弾道ミサイル(オレシュニク:地上発射)
※Влучання : 攻撃を被弾した
※Балістика : 弾道軌道の(ミサイル)
※БПЛА «Герань» : 無人航空機「ゲラン」、シャヘドの別名
※КРМБ «Калібр» : 海洋発射巡航ミサイル「カリブル」
※Проліт БРСД «Кедр» (Орешнік) : 中距離弾道ミサイル「ケードル(オレシュニク)」の飛来
※ППО радар と monitorwar による共同作業の可視化地図。両名はこの攻撃経路の可視化地図を世間に広めて欲しいとクリエイティブ・コモンズ・ライセンスをCC 4.0に設定。
弾道ミサイル系×14飛来8撃墜、6突破 ※阻止率57%
- 中距離弾道ミサイル×1飛来0撃墜 ※オレシュニク
- イスカンデルM/S-400弾道ミサイル×13飛来8撃墜
イスカンデルM弾道ミサイルとS-400地対空ミサイル対地攻撃転用(準弾道飛行)が判別しきれず、両者を合わせて集計しています。飛来の半数以上をパトリオット防空システムで撃墜しており、高速で迎撃困難な弾道ミサイル相手としては善戦しています。
また重大な出来事として西部リヴィウに中距離弾道ミサイル「オレシュニク」が飛来し、重要インフラ(天然ガス貯蔵施設という説)が攻撃されました。オレシュニクは一つのミサイルに複数弾頭(6個と推定)を搭載しており、通常の弾道軌道で飛来しますが数による飽和攻撃によって迎撃困難な目標です。
Google地図よりカプースチン・ヤールからリヴィウ、ドニプロまで(説明は筆者追記)1月8日19時にゼレンスキー大統領が「今夜にもロシア軍の大規模空襲の可能性」と警告し、その後に在キーウ米国大使館も警告を出し、23時33分に弾道ミサイル空襲警報がウクライナ全土に鳴り響き、23時46分前後にオレシュニクがリヴィウに着弾しています。カプースチン・ヤールでのロシア軍の動きはウクライナ軍およびアメリカ軍によって察知されていました。
巡航ミサイル×22飛来10撃墜、12突破 ※阻止率45%
巡航ミサイルは阻止率45%と亜音速目標相手としてはかなり低い成績です。弾道ミサイルと長距離ドローンも同じタイミングで多数が飛来しており、防空システムに負荷が掛かっていたのかもしれません。なお戦略爆撃機から運用するKh-101巡航ミサイルは使用されておらず、2025年秋に使用を控える備蓄期間を設けていなかった影響が出ています。
最近の巡航ミサイル飛来記録(12月~1月)
- 2026年01月09日:22飛来10撃墜、12突破 ※阻止率45%
- 2025年12月27日:28飛来23撃墜、5突破 ※阻止率82%
- 2025年12月23日:35飛来34撃墜、1突破 ※阻止率97%
- 2025年12月13日:21飛来13撃墜、8突破 ※阻止率62%
- 2025年12月06日:34飛来29撃墜、5突破 ※阻止率85%
※12月13日はミサイル6発が目標に未到達(種類未発表)と発表されており、これが弾道ミサイルなのか巡航ミサイルなのか言及がなかった。ここでは12月13日の未到達ミサイル6発を暫定的に全て弾道ミサイルと見做して計算。もし未到達ミサイル6発が全て巡航ミサイルの場合は、12月13日は巡航ミサイル阻止率90%。
各種ドローン×242飛来226排除、16突破 ※阻止率93%
- 2026年01月09日:242飛来226排除、16突破 ※阻止率93%
- 2025年12月27日:519飛来474排除、45突破 ※阻止率91%
- 2025年12月23日:635飛来587排除、48突破 ※阻止率92%
- 2025年12月13日:465飛来417排除、48突破 ※阻止率90%
- 2025年12月06日:653飛来585排除、68突破 ※阻止率90%
※長距離ドローン攻撃は毎日行われており、数日おきに纏まった数の大規模なドローン発射が行われることが通常だが、2025年12月27日より後の最近2週間はドローンの発射規模が比較的少ないまま。
※ドローン阻止率の推移は最近に限らず過去3年を見ても大きな変動は無く、概ね80~95%の範囲に収まっており、特に悪い場合でも70%台が稀に記録された程度。
※ドローン飛来数のおそらく半分以上は安価な囮無人機であると思われる。長距離ドローン攻撃で囮無人機が混じり出したのは2024年7月以降、本格的に増加したのは2024年10月以降。
2026年1月9日のウクライナ軍の迎撃戦闘はドローン阻止率が高く、最近の約一カ月間の大規模攻撃への対処では最も迎撃成績が良い数字です。
突破数の打撃力換算:ミサイル1点、ドローン0.1点
- 2026年01月09日:合計19.6点(ドローン1.6点+ミサイル18点)
- 2025年12月27日:合計14.5点(ドローン4.5点+ミサイル10点)
- 2025年12月23日:合計5.8点(ドローン4.8点+ミサイル1点)
- 2025年12月13日:合計15.8点(ドローン4.8点+ミサイル11点)
- 2025年12月06日:合計27.8点(ドローン6.8点+ミサイル21点)
※打撃力換算はミサイルとドローンの弾頭重量差を10倍として、突破してきたミサイル1点、ドローン0.1点で計算する。
2026年1月9日のロシア軍の攻撃はドローン飛来数こそ比較的少なかったものの、ミサイル突破数が多く、突破した数の打撃力換算では最近の約一カ月間では2番目に多い被弾量となっています。
オレシュニクの複数弾頭がリヴィウに着弾
※オレシュニク中距離弾道ミサイル:カプースチン・ヤールからリヴィウまで約1600キロメートルを速度約マッハ11で飛来、複数弾頭は推定6個搭載。正体はRS-26ルベーシュ弾道ミサイルの派生型と推定され、ケードルという別名も持つとされている。
キーウへのダブルタップ攻撃
※ロシア軍がキーウへの長距離攻撃で民間人と救助者を狙う悪名高いダブルタップ攻撃を実施。まず民間施設を攻撃して、救助が来た頃合いを見計らって、2発目を同じ場所に叩き込む時間差攻撃。国際人道法に違反する戦争犯罪。
キーウの民間高層住宅にロシア軍の自爆無人機が着弾
※軍事目標とは認められず、これも明らかに国際人道法に違反する戦争犯罪。
民間集合住宅の高層ビルにロシア軍の自爆無人機が着弾
ウクライナ国家非常事態庁キーウ本部より高層ビルにロシア軍の自爆無人機が着弾※地図座標:視点(50.396448, 30.626843)から南西方向の高層ビル、位置特定者:@99Dominik_
※この場所でロシア軍のダブルタップ攻撃により医療従事者のセルヒー・スモリャク(Сергій Смоляк)氏が死亡。出典:Obozrevatel.ua