タイ、不法入国のウイグル族40人を中国へ強制送還 人権団体など批判
[バンコク 27日 ロイター] - タイ政府は27日、拘束していた少数民族ウイグル族の40人を中国に強制送還したことを確認した。
2014年に中国からタイに逃れた300人のグループが不法入国の疑いで拘束され、このうち48人がウイグル族だった。プンタン副首相兼国防相はロイターに対し、国内法と国際基準に則って送還しと指摘した。タイがウイグル族を中国に強制送還したのは過去10年で2回目。
中国の新華社は27日、タイに不法入国した中国籍の40人が送還されたと伝えた。
国連の人権専門家は先月、タイ当局に対してウイグル人を中国に送還しないよう要請。送還された場合は、拷問や虐待、「回復不可能な損害」を受ける危険があると警告していた。強制送還について人権団体からは批判がでている。
タイのペートンタン首相は送還確認に先立ち、10年以上拘束しているウイグル族を巡り国際基準と人権原則に従って措置を講じる必要性を強調。「この種の問題は、どの国にとっても、法律、国際的な手続き、人権に従わなければならない」と語った。
27日未明にウイグル族が収容されていたバンコク入国管理センターから黒いテープで窓を覆われたトラックが数台出て行ったと地元メディアが報道、送還されたとの懸念が高まった。フライト追跡サイトによると、午前4時48分に中国南方航空便がドンムアン空港を出発、6時間後に中国新疆ウイグル自治区カシュガルに着陸した。
タイは2015年7月にウイグル族100人超を強制送還、1カ月後にバンコクの観光名所エラワン廟で爆発事件が起き20人が死亡した。外交筋や関係者は、強制送還が爆弾事件につながったとみている。
タイ当局は当時、爆弾事件は人身売買組織の取り締まりに関連していると結論付けていた。この事件ではウイグル系の男2人が逮捕され、裁判は何度も延期されながら続いている。
タイに残る8人のウイグル族については明らかになっていない。
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