名古屋で大規模冠水 広範囲で「内水氾濫」が発生 “見えない川”暗渠も都市型水害のリスクに
8日、名古屋市で発生した大規模な冠水被害。 その脅威が明らかになってきました。 各地で相次ぐ都市型水害にどう備えればいいのか。 【画像】都市型水害のリスク「暗渠(あんきょ)」とは 帝京平成大学の小森次郎教授と見ていきます。 遠藤玲子キャスター: 名古屋市で起きた冠水被害ですが、被害の大きさが分かってきました。 8日に名古屋市で撮影された映像では、いくつものマンホールから水が噴き出していて、音を立てて電線をはるかに越える高さまで水が噴き上がっていました。 さらに、名古屋の中心部・栄駅周辺では、歩道と車道の境目が分からないほど冠水し、車が通るたびに波のように水が押し寄せていました。 そして、水に漬かったコンビニエンスストアの店内では、棚の商品が浮いている様子も見られました。 榎並大二郎キャスター: かなりの被害がありましたが、なぜこれほどの大規模な冠水被害というのが起きてしまったのでしょうか。 帝京平成大学・小森次郎教授: まず1つ言えるのは、とにかく大雨が降ったということなんですね。 記録としては、1時間雨量として過去最大の雨量が降ったんですね。数年に一回はこういった大雨の被害が出るんですが、今回の場合は植田川とか一部の川を除くと、市内のいろんなところで内水氾濫が起きたというのが特徴ですね。 榎並大二郎キャスター: 街一帯が冠水してしまった場所もありましたが、名古屋市の地形というのが影響している可能性もあるんですか? 帝京平成大学・小森次郎教授: 濃尾平野はすごく大きくて低地があるんですけど、今回は台地で起きました。そういったところの浅い谷なんかで冠水被害が出ています。 遠藤玲子キャスター: JR千種駅近くの線路も浸水していましたね。 帝京平成大学・小森次郎教授: この場合は人工的に掘割ということで、線路を掘ったところがあるんですね。そこに水が流れ込んだということですので、人工地形で起きた被害も見られるということですね。 遠藤玲子キャスター: 地形的特徴も1つの要因であったということですが、名古屋市というと大都市ですよね。今回の水害、影響が地下道や地下にある施設にも及んでしまいました。 地下への浸水というのも、やはり都市型水害の被害を拡大させる要因なんでしょうか。 帝京平成大学・小森次郎教授: 都市型水害というと、まずはアスファルトで多くが舗装されて、表面を流れる水がたくさん発生しやすいと。それから名古屋の場合は地下街が発達してますので、そういったところに流れ込むことで今回の被害が目立ったのかなと思います。 遠藤玲子キャスター: 先ほど小森先生からも内水氾濫という言葉がありましたが、改めて冠水には2つの要因があります。 川の水があふれたり、堤防が決壊するなどの「外水氾濫」と、排水が追い付かない「内水氾濫」なんですが、今回はこちらの内水氾濫が多く発生したということですよね。 山崎夕貴キャスター: 排水が追い付かないというのはどういうことなんですか?都市ならではの事情があるんですか? 帝京平成大学・小森次郎教授: 排水の量の目標というのがありまして、1時間の雨量で言うと大体、多くの都市が50mm前後の雨量を目標としています。名古屋の場合も、今後の目標として50または63mmを設けていたんですが、それを大きく上回る雨量、100mm以上。1時間雨量が超えてしまったと。 遠藤玲子キャスター: そもそも都市の構造自体が、ここ最近の雨量になかなか追いつかないということなんでしょうか。 帝京平成大学・小森次郎教授: もともと目標値を設けていたのが1900年代ですから、それから確実に50mmを超える大雨が増えているので、目標値をそもそも設定をし直すことも考えないといけないかもしれないですね。 榎並大二郎キャスター: 外水氾濫ならば川の水量が上がってきたというのが目に見えて分かりますが、内水氾濫は見えないところでいつ来るかって分からない怖さもありますよね。 帝京平成大学・小森次郎教授: 特に見えない水路というようなことで、暗渠(あんきょ)というようなものも。 遠藤玲子キャスター: もう1つ都市型水害のリスク、「暗渠」と呼ばれるものがあるんです。暗渠とは「外からは見えない場所にある水路や排水溝など」なんです。豪雨によって、暗渠も増水する恐れがあります。 小森教授によると、都心を流れる多くの川に、実はこの暗渠があるということなんです。 三宅正治キャスター: この暗渠が都市の水害のリスクを高める可能性があるということですか? 帝京平成大学・小森次郎教授: もともと川の地形ですので、水が集まるという意味では川と同じなんですけど、一番大きいのは目に見えないというリスクがあるということが言えます。 遠藤玲子キャスター: 去年9月に東京で起きた豪雨でも、暗渠というのが1つ要因になっているんでしょうか? 帝京平成大学・小森次郎教授: そうですね。その1つが東京・品川の立会川。その辺で起きたものなんですが、本流の暗渠に対して周りから下水道管が支流として入ってくるんですが、その周りでも水が噴き出してしまうという特徴もあります。 これは普通の川でもあるわけなんですが、暗渠の場合、圧力がかかると余計そういったものが大きく噴き出すという問題もあります。 遠藤玲子キャスター: やはり何が怖いかというと、暗渠というのは目に見えない点だということなんです。 過去の事例では、暗渠の水圧が高まったことによっていろいろ被害が出たという。 帝京平成大学・小森次郎教授: 中の水が噴き出す時に、上のふたの役目をとっているコンクリートの板などを吹き飛ばすというようなことも実際に起きています。 山崎夕貴キャスター: 私たちが事前に気づく予兆みたいなものはないんですか。 帝京平成大学・小森次郎教授: なかなか難しいんですけど、川だと水位が上がるのが分かりますが、暗渠だと予兆が見えませんので。ある意味暗渠だけに限った場合ですと、本当に周りの他の川がどう増えているとか、その辺も見なければ追い付かないというような複雑なところはありますね。 榎並大二郎キャスター: 暗渠の上に住宅が建っているというところもあるわけですか。 帝京平成大学・小森次郎教授: 真上に立っていることはなかなかないです。ごくごくたまにあるんですけども、多くの場合、緑道とかになってまして、あとは橋の地名とか、そういうようなことで暗渠っぽい痕跡が残ってることはありますね。 山崎夕貴キャスター: お住まいの場所が大丈夫かは、どうやって調べたらいいんですか。 帝京平成大学・小森次郎教授: これは、分かりやすい図というのはなかなか作られていないんです。ですので、下水道マップを見たり、お住まいの下水道局に問い合わせるというのが1つかなと思います。 遠藤玲子キャスター: 公的な機関が出している、何か地図というものは…? 帝京平成大学・小森次郎教授: 統一されたものはないです。 榎並大二郎キャスター: 都市部ということで、今回のケースでも名古屋市で暗渠によって何か被害があった可能性は考えられますか? 帝京平成大学・小森次郎教授: 今回の場合特にはないんですけど、千葉とか、今年の一連の中では起きてますね。 関東ではこのあとも、再び雨が強まる予報が出ています。 引き続き十分に警戒してください。 (「イット!」9月9日放送より)
イット!