10万円で買ったら20年で300万円に…オルカンより大きな利益が狙える"持っているだけでいい"投資商品
資産を大きく増やす人は何に投資しているのか。FPの田中徹郎氏は「手頃な価格のうちに入手しておきたいマニアックな投資商品がある。20年で30倍の価値になるなど、大きな利益が出た事例も多数ある」という――。
※本稿は、田中徹郎『資産運用の視点からみた【決定版】アンティーク・コイン投資のすべて』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
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値上がり期待大の投資商品
私はかれこれ45年ほど株式投資をしています。過去には、日経平均の史上最高値3万8915円からの急落、その後20年以上にもわたる低迷、アメリカのITバブルとその崩壊など、さまざまな出来事がありました。
投資の世界では昔から「卵を一つのカゴに盛るな」と言われますが、私も経験上「資産の質的な分散」が重要だと考えています。その手段のひとつが、実物資産であるアンティークコインへの投資です。
アンティークコイン投資で重要なのは、どんなコインを所有するか、ということ。特に値上がりの期待できるコインには、どのような特徴があるのでしょうか。
一般にコイン収集家は自国や近隣国のコイン収集から始めます。たとえば、イタリア人はイタリアのコインを、中国人は中国のコインを、というようにです。
この傾向から外れるのは、日本人とアメリカ人くらいかもしれません。日本にももちろん日本の古銭や小判・大判など集める人もいますが、今ではむしろ外国コインの収集家のほうが多いかもしれません。
アメリカ人にも同様の傾向がみられますが、それはアメリカが移民の国で、そのルーツが多くの国にまたがっているからだと思います。
このようにわずかな例外はありますが、一般的に収集家は自国のコインを集める傾向が強いと言えるでしょう。
「富裕層が増える国のコイン」が狙い目
もう一つ大切なのは、「コイン収集はお金持ちの遊び」だという点です。「遊び」はちょっと言い過ぎかもしれませんが、趣味の対象であることは間違いありません。
また“一定以上”の資産を持つ人がコインを収集しているのも間違いありません。コインを持っていても、配当も家賃ももらえません。そのような資産におカネを払うのは、やはり一定の余裕がある富裕層に限定されるのは事実です。
これらのことから言えるのは、これから富裕層が増えてゆく国や地域のコインは、値を上げやすいということです。さらに一歩進めて、どんな国や地域で富裕層が増えていくのかを予想し、先回りすることによってコイン投資で成功することができるはずです。
ではどんな国や地域で富裕層が増えていくのでしょう。私はその国や地域の経済成長性が高いことが第一の条件になると思います。
たとえば2000年以降の中国をみてみましょう。2000年時点のGDPは約1兆220億ドル、一方、2020年時点では約15兆1000億ドルですから、この間12.4倍ほどです。
富裕層が保有する資産はもっと拡大しているはずです。実際に2000年以降の中国では貧富の格差は広がっており、富裕層が持つ資産は、2019年時点で100倍以上になっています(注)。
先ほどお話したように、「コイン収集はお金持ちの遊び」です。富裕層が保有する資産が大きくなればなるほど、その国のコイン相場は値上がりすると考えていいでしょう。
注)クレディスイス「Global Wealth Databook 2019」より
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日本や中国と同様、この地域で西洋基準のコインが作られはじめたのは1800年代に入ってからですが、東南アジアを一つの地域としてくくることはできません。なぜなら東南アジアは1500年代以降、まずスペインやポルトガルが、続いてオランダやイギリスが植民地化し、それぞれの地域で異なったコイン史を持つからです。
その点で特に有望なのはタイ、アンナン(ベトナム)、カンボジア、インドネシアの4カ国だと私は思います。この4カ国のコインに関して私は今まで書いた本のなかでお勧めしてきましたが、その後、現在に至るまで予想通りの値動きをしています。
たとえばアンナンの大型銀貨や金貨です。さすがに急に値上がりした後、足元で高原状態にありますが、コインの値動きを振り返ると、「階段状の値上がり」はよくみられる現象です。
コインの値動きを観察すると、三角定規の一辺のように一定のペースで値を上げることはありません。しばらく値動きを止めた後、急な値上がりがあり、またしばらく高原状態が続く。そして一定期間経過した後また急騰して高原状態に入る──。これが典型的なコインの値動きパターンだということがわかります。
現在のアンナンは急騰の後の高原状態にありますが、いずれまた注目を集めるときがくるでしょう。
タイの狙い目は「ラーマ4世」コイン
タイも同様です。たとえば、ラーマ4世の2バーツはここ数年で急騰しましたが、足元は安定相場に入った観があります。この銘柄もまた「階段状の値上がり」を示す可能性が高く、その点で面白い銘柄だと思います。
なお、この銘柄はラーマ4世の生誕60周年を記念して発行されたコインで、4バーツ以下8銘柄があります。特に、4バーツは「鄭明通宝」と刻印されており、4センチもある超大型の銀貨です。残存数も少なく市場に出てくることは滅多にありません。
鑑定会社のケースに入って数字が付く個体はさらに希少で、MSクラス(未使用のコインを表すグレード)ですとオークションで1000万円ほどの値が付くようになってきました。
近年のタイは、ベトナムなどほかの東南アジア諸国と違い、経済の停滞期に入ってしまったようにみえますが、それでもタイの人たちの現物資産志向は強く、まだ値を上げてゆく可能性が高いでしょう。
タイやベトナムだけではなくアジア全般に言えることですが、西洋式のコインの発行はせいぜい1800年代に入ってからです。1940年代には日本による統治時代に入り、金貨や銀貨の発行は絶えてしまいます。
その後、この地域で再び金貨や銀貨が発行されはじめるのは、第二次世界大戦後の混乱期が終わる1970年代に入ってからです。このような点もまた、私がアジアのコインが有望だと考える理由の一つです。
そもそも銘柄が少なく、さらに経済規模の点から発行数も少ないうえ、1930~1970年あたりがスッポリと抜けているのはアジアコインの特徴です。今後、富裕層マネーがこの小さな市場に入ってゆくならば、この地域のコイン相場は上がらざるをえないでしょう。
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大きく値上がりした一例が、中国の貴州省で1917年に発行された自動車ダラーです。これは7銭2分銀貨で、ウラ面に当時のフォード車がデザインされており、高い人気を誇ります。2008年時点の30万円から2020年までに300万円ほどに値上がりしていますが、さらにさかのぼると2000年時点では同状態のものが10万円ほどで買えました。
ほかの銘柄を見渡しても、この間30倍ほどに値上がりした中国コインは珍しくありません。特に、希少性が高く、その意味で富裕層の所有欲を満たす銘柄は、幅広く同様の値動きをしています。
先ほどから私は「コイン収集はお金持ちの遊び」と言ってきましたが、これは今後のコイン相場を予想するうえで大切な考え方だと思います。
美術品や宝飾品などに対する富裕層の姿勢をみると明らかなように、富裕層は他人が持っていない、希少なコインやデザイン性が豊かで美術的な価値が高いものを欲しがる傾向にあります。
コインも例外ではありません。たとえば、数万円程度のコインがほとんど値を上げないのは、このような理由からだと考えておくべきでしょう。
このような視点から、経済成長性が高く、なおかつ貧富の格差が大きくなる国や地域のコインが、投資対象として有望だとわかります。逆に言えば、このような原則から外れた急騰はバブル的な要素を疑うべきでしょう。
有望国・インドの狙い目コイン
「今、世界で一番成長が期待されている国はどこですか」。このような質問をすると、多くの人はインドを挙げるのではないでしょうか。
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すでに人口は14億人を超え世界一ですし、人口構成をみても若年層が多く、今後しばらく高い成長が見込まれる国だと言われています。一人当たりのGDPをみても3000ドルに達しておらず、逆に言えばまだまだ富裕化の余地はあります。ITや製薬産業を中心に地場の資本も成長してきており、さらに貧富の格差は広がっていくでしょう。
このような経済状況から考えて、インドのコインは有望だと考えていいでしょう。
コインの歴史という観点でみてもインドは有望な市場だと思います。まずはその多様性と銘柄の豊富さです。日本や中国をみても明らかですが、アジアはコインの先進地帯であるオリエントやギリシャ・ローマとはまったく異なる歴史をたどってきました。
中国で、ヨーロッパ基準のきれいに成形された丸い金貨や銀貨が貨幣として使われはじめたのは、せいぜい1800年代の終盤以降です。それ以前は馬蹄銀や馬蹄金など、金や銀を簡単に成形したものを高額貨幣として使ってきました。
この点では日本も大差ありません。江戸時代以降、大判、小判といった独特な金貨や丁銀ちょうぎんと呼ばれる非成形の銀貨を主に使っており、西洋基準の丸い金貨や銀貨を作ったのは明治に入ってからです。日本・中国以外のアジアも大差はありません。
そのような観点からは、インドはアジアで唯一、古代から現代まで世界基準の金貨や銀貨を発行し続けた国だと言えるでしょう。
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- ファイナンシャルプランナー/プライベート・バンカー
カンボジアとインドネシアについても1銘柄ずつ紹介いたします。
田中徹郎『資産運用の視点からみた【決定版】アンティーク・コイン投資のすべて』(日本実業出版社)
まずはカンボジアからです。カンボジアのコイン史はさらに歴史が浅く、私たちが入手できる最も古い西洋式コインは、1850年に発行された1ティカル銀貨です。タイの2バーツはイギリスの技術によって発行されましたが、1ティカルも同様と考えられます。
ただし、タイのバーツと違い作りが粗雑であることから、イギリスの関与は限定的だったでしょう。直径3センチ弱、重さ15グラムほどの中型コインですが、これでも当時の最高額面です。きっとカンボジアの経済規模では、これで十分だったのでしょう。
この銘柄には「厚型」と「薄型」があり、出現頻度は1対3くらいです。取引値は厚型のほうが高く、美品クラス(XF45)でオークション価格は30万~40万円あたりです。
この時代のカンボジアの貨幣技術は低く、打刻の圧にムラがありますし、長期間にわたって使用されたため状態の良いものは稀です。まだ割安に放置されており有望なコインだと思いますが、購入されるなら少なくとも鑑定会社のケースに入って数字が付いたもの、値は張りますができればXF45程度以上のコインをお勧めします。
インドネシアの金貨・銀貨も狙い目
東南アジア最後の1枚は、インドネシアで1972年に発行された金貨・銀貨の10枚セットです。このセットは、インドネシアがオランダから独立して25年目を記念して発行されました。
なかでも人気が高いのは2万ルピア金貨と750ルピア銀貨です。オモテ面のデザインは共通でヒンドゥー教の神様ガルーダが描かれています。この銘柄なども近年急速に値を上げており、つい10年ほど前に、2万ルピアの未流通クラスが50万円ほどで入手できた記憶があります。
今なら未流通のPR68(かろうじて銘柄がわかる状態のコイン)が600万~700万円ほどはします。
ほかにミャンマーの1キャット銀貨や、カンボジアで1860年に発行されたノロドム1世のピアストルのプルーフ貨(鏡面加工のほどこされたコイン)など、アジアには有望なコインがいくつもあります。
先ほどもお話したように、この地域のコインは経済成長性や貧富の格差拡大に加え、そもそも銘柄・残存数が少ないという点から考えて有望だと私は思います。