「そこに入ってくるような選手に」侍ジャパン・井端監督が巨人・吉川尚輝に「1番」期待すること
侍ジャパン・井端弘和監督(49)が3日、巨人の吉川尚輝内野手(30)を切り込み隊長として起用する方針を示唆した。持ち前のスピードを評価しただけでなく「昨年以上の成績は望める」とも期待。指揮官から26年WBCの有力候補に挙げられる吉川は「期待に応えられるように」と6年ぶりの代表戦へ決意を示した。吉川と岸田行倫捕手(28)は東京Dで全体練習に参加後、侍へ合流するため出発した。
井端監督はかつての弟子の成長を確かに感じ取っていた。巨人で内野守備走塁コーチ時代、17年から2年間、新人だった吉川を指導した経験を持つ。「オープン戦を見ていても状態がいいし、仕上がりも順当。彼と何年か一緒にやったので、一番の問題は1シーズン(を乗り越える)体力だった。そこを(昨年)クリアしたというところでは、かなり今年も期待しています。昨年以上の成績は望めるのかな」と目を細めた。
昨季は全143試合にスタメン出場し、二塁手部門でゴールデン・グラブ賞とベストナインをダブル受賞。春季キャンプは部分的にS班に合流し、ノーステップで逆方向に打ち続けるマシン打撃など独自調整を続けてきた。リードオフマンとして起用する方針を問われた井端監督は「他の選手とのバランスも考えてですが、そこに入ってくるような選手になってほしい。一番の魅力はスピードと守りを含めたトータルバランス」と期待を込めた。
一方、吉川は「選んでいただいた井端監督の期待に応えられるように頑張ります」と共闘を心待ちにする。ゴールデン・グラブ賞7度の「井端モデル」を基に改良を加えたグラブを19年まで愛用。堅守の土台をつくってもらったが、選出されていた昨年のプレミア12は左肋骨(ろっこつ)の故障で辞退。「日本代表として日の丸を背負うので、日本チームの勝利に貢献できるように頑張ります」。満を持して19年3月のメキシコ戦以来、6年ぶりの代表戦に臨む。
この日は、東京Dでキャッチボールなど軽めのメニューで汗を流した。侍ジャパンで外野守備・走塁コーチを務める亀井打撃コーチは「自分で意図を持ったルーチンをつくって練習している。(巨人では)自分で3番を打つんだという自負を持って練習しているように感じた」と柱の一人となった背番号2への信頼を口にした。
阿部監督は侍ジャパン初選出の岸田とともに「すごい素晴らしい経験、いい経験なんで頑張ってきてもらいたい」。国際大会の経験がさらなる成長につながることを期待して送り出した。「しっかりできる限りの準備をして試合に臨みたいと思います」と東京Dを後にした吉川。侍野手陣でも攻守のキーマンとして存在感を示す。(内田 拓希)
◆WBC日本代表の主な1番打者 06年の第1回大会で8試合のうち6試合に先発したイチロー(マリナーズ)が、引き続き09年の第2回大会も全9試合で務めた。13年の第3回大会は坂本(巨)と長野(巨)に鳥谷(神)が各2試合と、ほぼ日替わり。角中(ロ)も1試合あった。17年の第4回大会は7試合中の5試合で山田(ヤ)。前回23年の第5回大会は全7試合でヌートバー(カージナルス)が起用された。
井端弘和監督 二遊間は「いい競争ができる」
―今回、二遊間を多く招集しているが、守備は一つ選考基準になる。
「二遊間というところはある程度、攻撃もそうですけど、守りも大事になってくると思うので、いい競争ができるんじゃないかなと思っています」
―次のWBCでメジャーの選手が順当に選ばれるなら、今回のメンバー選出のハードルは高くなる?
「それでも投手も含めて全員が来たところで枠は空いてますしね、外野も空いていますし、内野は誰もいない。そこまで全部がメジャー(組)で(決める)というわけではないので、みんなにチャンスがあるのかなと思います」
―長打を重視するのは前回WBCも踏まえて。
「それもあると思いますし、なかなか連打、連打(で得点)というのは望めない投手というのはイメージしておかないといけない。それにも対応できるメンバーだったり、逆に、足を絡めてというのは、その両方をイメージしておかないといけない。その中でも一枚でも多く長打の打てる打者、確実性がある打者を選んでいければなと思っています」