日本初の民間ロケット軌道投入へ! 3度目の挑戦の注目ポイントを解説
スペースワンが開発しているカイロスロケットの3回目の打ち上げが、いよいよ3月1日(日)に行われる。過去2回の打ち上げはいずれも失敗しており、今回が3度目の挑戦となるが、もし衛星の軌道投入に成功すれば、日本の民間企業として初の快挙。現在、国内では複数の民間企業がロケット開発を進めており、新たな時代の幕開けとなるだろう。
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カイロスロケット3号機。クラウドファンディングで支援した各社のロゴが入り、ずいぶんにぎやかなデザインになった (C)スペースワン
3度目のフライトの注目ポイント解説
カイロスは、全長18m、直径1.4mの小型ロケット。国の基幹ロケットであるイプシロンと同様に、固体3段と小型液体ステージ(PBS)という構成だが、サイズは一回り小さく、高度500kmの太陽同期軌道(SSO)に150kgのペイロードを投入する能力をもつ。
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カイロスロケットの概要。イプシロンロケットと同様のステージ構成だが、ひと回り小さい (C)スペースワン
初号機は、2024年3月13日に打ち上げを実施したが、その約5秒後に爆発。これは、第1段の推力が予測していたよりも低く、飛行が計画からずれた結果、機体に搭載した自律飛行安全システムが異常と判断、自ら飛行を中断したためだった。
その対策を施した2号機は、同年12月18日に打ち上げを行った。第1段は順調に飛行を開始したものの、86秒ほど経過したところで姿勢が大きく乱れ、回転しながら飛行を継続。第1段/第2段の分離には成功したが、飛行経路の逸脱は修正できず、打ち上げから187秒後、自律飛行安全システムが飛行を中断した。
3号機ではまず、前回異常が発生した第1段が最後まで正常に飛行できるか、という点が気になるところ。さらに、前回は第2段で飛行を中断したため、その先の第3段と小型液体ステージ(PBS)は、軌道上でのテストができなかった。今回、初の出番できっちり役目を果たし、衛星分離まで達成できるか注目したい。
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フライトシーケンス。固体3段で楕円軌道に入れ、小型液体ステージ(PBS)で円軌道化し、衛星を分離する (C)スペースワン
今回搭載される衛星は5機。いずれも超小型衛星で、最も大きいのはテラスペースの「TATARA-1R」(約70kg)、そのほかの4機は3Uサイズ(10×10×30cm)となる。打ち上げの53分35秒後に、1機目の3U衛星を分離、6〜7秒間隔で3U衛星を次々分離していき、54分01秒後、最後にTATARA-1Rの分離を行う計画だ。
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カイロスロケット3号機に搭載される衛星 (C)スペースワン
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搭載する衛星。ほぼ前回と同じ顔ぶれになっている (C)スペースワン
衛星を分離するのは地球の裏側、南米上空を飛行しているときであるため、スペースワンは南米に地上局を配置。衛星が分離されれば、ロケットからの通信によって、リアルタイムで分かるようになっている。成功すれば同社からすぐ速報が出るはずなので、このあたりのタイミングを見逃さないように注視していて欲しい。
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飛行経路。南米上空の○がついているところで衛星を分離する予定だ (C)スペースワン
日曜日の打ち上げを楽しもう!
カイロスロケット3号機の打ち上げは当初、2月25日(水)を予定していたが、天候上の理由により延期、3月1日(日)に再設定された。打ち上げの時刻は11時00分で変わらない。ウィンドウは11時20分までとなっており、この20分間の中であれば、天候や周囲の状況により、打ち上げ時刻が変わる可能性がある。
カイロスの射場は、和歌山県の南端にあるスペースポート紀伊。本州の中程に位置するため、関東や関西からでも比較的見学に行きやすいのが魅力だ。今回、打ち上げが日曜日に変わったこともあり、見に行けるようになったという人も多いかもしれない。そのほかYouTubeでの配信もあるので、そちらで見ることも可能だ。
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スペースポート紀伊の射点。ロケットは緑色のPST(ロケット組立足場)内部で組み立てられ、打ち上げ前にPSTを退避させる仕組みだ (C)スペースワン
公式の見学場は、今回も同じ2カ所が用意されている。串本町側が田原海水浴場、那智勝浦町側が旧浦神小学校で、チケットはすでに完売(定員はどちらも2,000人)。この周辺の道路は、今回も駐停車禁止の交通規制が実施される。チケットを持たない人が自動車で行こうとしても、近くで見ることはできないので注意して欲しい。
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祭りのようなにぎやかな出店も、見学場の楽しみのひとつだ
前回、筆者は念願であった「校舎の後ろから上昇するロケット」を撮影することができたので、今回は逆サイドの田原海水浴場に行って取材する予定だ。随時、現地からレポートする予定なので、更新をお待ちいただきたい。
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何度も足を運んで、5回目にしてようやく撮影できた1枚
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