コスパと冷却性能を両立!CORSAIRの新型PCケース「3200D RS」で光らない黒いPCを組んでみた
CORSAIRの新作「3200D RS」は、3基の120mmファンと強化ガラスパネルを標準搭載しながらも約1万5千円で購入できる良好なコストパフォーマンスと、背面コネクタ採用マザーボードに対応するモダンな設計が魅力のミドルタワー型PCケースだ。
今回は、コストパフォーマンスの良さで注目を集める新CPU「Core Ultra 7 270K Plus」と、上位GPU「GeForce RTX 5080」を3200D RSに搭載。導入コストに優れるだけでなく、高発熱なパーツに対応できる冷却能力も備えているのか、性能を確かめてみよう。
3200D RSは、今回レビューするブラックのほか、スモークとホワイトの3色のカラーバリエーションが用意されている。安値店での販売価格は14,480円。ARGBファン搭載の「3200D RS ARGB」も用意されており、こちらもカラーはブラック/スモーク/ホワイトの3色で、価格は16,280円となっている。
筐体サイズは約219×495×458mm(W×H×D)で、搭載可能なマザーボード規格はATX、microATX、Mini-ITX。また、ASUS、GIGABYTE、MSIが展開する背面コネクタ採用マザーボードも搭載できる。
本体の左側面に強化ガラスパネルを採用し、ケース前面には3基の120mmファン(CORSAIR RS120)を標準装備。ビジュアルと冷却性能に優れたPCを低コストで構築するのに適している。
また、360mmサイズのオールインワン水冷クーラーや、最大高さ185mmの空冷CPUクーラー、最大400mm(前面ファン搭載時は375mm)までのビデオカードなど、大型のハイエンドパーツを組み込める収容能力があるので、パーツ選択の自由度が高いことも3200D RSの魅力だ。
外装パネルを外して3200D RSの内部構造と機能を確認してみよう。3200D RSは背面コネクタを採用するマザーボードに対応している。このため、マザーボードを固定する内部パネルには従来製品でも設けられているCPUクーラー用のメンテナンスホールだけでなく、背面コネクタ用の配線穴が多数設けられている。
もちろん、3200D RSは背面コネクタ採用マザーボード専用というわけではないので、従来型マザーボードに配線するための配線穴もしっかり用意されている。背面コネクタ採用マザーボードを使わなくても、特にデメリットはない。
ハイエンドパーツの搭載を考慮して設計されている3200D RSは、長大で重量のあるハイエンドビデオカードの負荷をシャーシで軽減する「GPUアンチサグスタビライゼーションアーム」を標準装備。自重によるビデオカードの変形をスマートに抑制できる。
また、最大で長さ180mmのATX電源を搭載可能で、電源筐体の側面にプラグインコネクタを備えるCORSAIRのRMx SHIFT シリーズにも対応。最大出力が1,000Wを超える大容量の大型電源ユニットの多くが搭載可能なので、消費電力の大きいハイエンドPCの構築も容易だ。
3200D RSの右側面内部には、2.5インチSSD用のマウンタ2基と、2.5インチ/3.5インチ共用マウンタ1基が配置されている。いずれもシャーシと一体のマウンタにSSDやHDDを直にねじ止めする仕様となっている。
ひと昔前のPCケースに比べると、3200D RSは2.5インチSSDや3.5インチHDDを搭載できる台数は少ないようにも感じる。しかし、PC向けストレージの主流がM.2型SSDに移行し、SATAのストレージよりも高速な外付けストレージを利用可能な現在の基準では、これで必要十分な収容能力を確保していると言える。
3200D RSは最大で9基の120mmファンを搭載可能なファンマウントを備えており、これと通気性に優れたフロントパネルや天板の設計が組み合わさることで、効果的に内蔵パーツを冷やせる冷却システムを構築できる。
ファンマウントの場所と搭載可能なファンの内訳は以下の通り。標準状態ではフロントパネル内部に3基の120mmファンが搭載されている。
- フロントパネル内部:120mm×3基、または140mm×2基
- 天板:120mm×3基、または140mm×2基
- 背面:120mmファン×1基
- ケース左側面内の電源シュラウド上:120mmファン×2基
これらのファンマウントのうち、天板とフロントパネルのファンマウントについては、最大で360mmサイズのオールインワン水冷クーラーを搭載できる。ただし、天板とフロントパネルの両方に360mmラジエーターを同時に固定することはできないので、CPUにもGPUにも水冷を用いるような特殊なハイエンド構成には向いていない。
興味深いのは、電源シュラウド上のファンマウントがビデオカード方向に送風できるよう角度をつけている点で、CORSAIRはこれを「アングルドボトムファンマウント」という名称で実装している。
実際にファンを取り付けてみると、隣接する水平設置のファンとの違いは明らかだ。効果は使用するビデオカードや状況によるだろうが、電源シュラウド上のエアフローを改善する効果は期待できそうだ。
今回は、Core Ultra 7 270K PlusとGeForce RTX 5080を組み込んで高性能PCを構築。両パーツの発熱に対応できる能力が3200D RSにあるのかを確かめてみよう。
MTPが250Wに達するCore Ultra 7 270K Plusの冷却には、CORSAIRの360mmサイズのオールインワン水冷クーラー「NAUTILUS 360 RS」を使用するほか、電源シュラウド上のファンマウント用として、ケース標準搭載のファンと同じ「RS120」を2基用意した。
その他のパーツ構成は以下の表のとおりで、今回のテストではケースファンや水冷クーラーを含め、ファンのPWM制御を50%に設定してテストを実施する。
実際にこれらのパーツで組み上げたPCがこちら。今回は光らないパーツを中心に組み上げたので、非常に落ち着いた雰囲気のPCに仕上がった。もちろん、RGB搭載パーツをふんだんに使用して組むことも可能なモデルだが、色を統一したシックなPCに組み上げるのにも適したモデルと言えるだろう。
ケース右側面の配線スペースが十分に確保されていることもあり、実際の組み立て作業で難しさを感じる部分はほとんどなかった。
意識しておいた方がよい点を挙げるならば、大型の水冷クーラーなどを取り付ける際のクリアランスだろう。今回天板への360mmラジエーターを搭載したが、ラジエーターを先にケースに固定し、水冷ヘッドはマザーボードに後から取り付けた。マザーボードに水冷ヘッドを先に取り付けると、モデルによっては組み込むことが難しくなる。搭載可能な最大サイズのパーツを使用する場合、組み込む順番によっては組み立て難易度が上がる場合もあるので、一度想定している順番で組み込めるか確認してほしい。
冷却性能に関してだが、まずはCPUの全てのコアを活用するCinebench 2026のMultiple Threadsを最低実行時間30分で実行し、HWiNFO64 Proで計測したモニタリングデータを推移グラフ化したものを紹介する。
テスト実行中のCore Ultra 7 270K Plusは、平均219.7Wの電力を消費しながらPコア平均5,261MHz、Eコア平均4,684MHzで動作しており、この時のCPU温度は上限の105℃を十分に下回る平均82.6℃(最大91℃)だった。
今回のPCが搭載している冷却ファンは、水冷クーラー搭載品も含めすべてがCORSAIR RS120であり、いずれのファンもPWM制御=50%設定により1,100rpm弱という低速で動作しているが、それでもCPUを十分に冷却し、マザーボードのVRM温度を70℃未満に抑えているのは、3200D RSの優れたエアフロー設計によるものと言える。
次に紹介するのは、サイバーパンク2077実行中のモニタリングデータだ。
今回のテストでは、画面解像度を4K/2160p(3,840×2,160ドット) 、グラフィックプリセットを「レイトレーシング:オーバードライブ」、超解像を「DLSS(パフォーマンス)」、フレーム生成を「DLSS FG 4x」に設定して、30分間連続でゲームを実行し続けた際のデータを計測した。
GeForce RTX 5080が300W弱の電力を消費し、PCシステム全体の消費電力が平均485.2Wに達する状況でも、CPU温度は平均61.8℃(最大77℃)、GPU温度も平均69.5℃(最大72.5℃)と、サーマルスロットリングが作動しない温度域をキープ。その結果、GeForce RTX 5080のGPUクロックは平均2,734MHzで終始安定しており、一貫性の高いパフォーマンスを発揮できていた。
テスト中、GPUファンは平均1,517rpmと比較的低い回転数でGPUを冷却できている。これはケース内の空気が適切なエアフローによって換気されることで、ビデオカード周辺の空気が室温に近い温度を維持しているためと考えられる。
CORSAIRの新作PCケースである3200D RSは、Core Ultra 7 270K PlusとGeForce RTX 5080を十分に冷却できるポテンシャルを備えたPCケースであり、これに背面コネクタ搭載マザーボード対応や、3基のファン付きで14,480円前後という価格を加味すると、同価格帯ではかなり魅力的なケースのひとつに数えることができそうだ。
今回はブラックモデルに光らないパーツを中心に組み立てたため落ち着いた雰囲気のPCに仕上がったが、カラーバリエーションのホワイトモデルには異なった趣があり、組み込むパーツ次第で派手なビジュアルに仕上げることもできるので、どう組むのかはユーザー次第。最新のパーツを使ってPCを自作したいと考えているユーザーにとって、モダンな設計のPCケースを1万円台半ばで入手できる3200D RSは、コストパフォーマンスに優れた選択肢となるだろう。